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弐百捌拾伍.連行

 月☆読(スサノオはいけません)

 俺「どうして?」

 月☆読(どうしてもです)

 すせり(他にいない以上、お父様にお願いするより他にはありませんわ)

 月☆読(スサノオに頼むくらいなら私が地上に下ります)

 俺「いやいや、あなたは月の神でしょうが」


 月の神が地上に降りたらまずいでしょ。狼男が狼に戻れなくなって苦情の電話が鳴り放題だよ。ベジータにパワーボールを作ってもらわなきゃならないよ。


 武甕槌(私もスサノオに頼るのは時期尚早かもしれないと思う)

 すせり(時間を掛けたら後任が見つかるんですか?)

 武甕槌(む……)

 すせり(そもそもお父さまの意志もあります。まずは私が根の国に赴いてお父さまの考えを尋ねてきましょう)

 武甕槌(そうだな。考えを尋ねるだけなら)

 月☆読(いけません。スサノオはこのような重責に着く資格のない男です)

 武甕槌(月詠さま。お気持ちは分かりますが、他に適当なものが思いつかないのも事実です)

 月☆読(しかし)

 武甕槌(後任のものは私の方でも探します。ですから、ここは考えを尋ねるだけならしておいてもいいのではないでしょうか)

 月☆読(……)


 何やら月☆読は俺の知らない何かの理由からスサノオが地上に出てくることを怖がっているように見える。一体、何があるんだろう?


 それに対して、武甕槌はスサノオを担ぎ出すことにまだ難色は示しているものの、選択肢の1つとして検討することを排除するつもりはないらしい。


 月☆読と武甕槌はその後も押し問答を続けているようだったが、すせり姫はその結論を待つことなく、俺と雨を呼び寄せた。


 すせり(ということで、これから根の国に行こうと思います)

 俺「私はいつでもいいわよ」

 雨(ちょっと待って。僕も行くの?)

 俺「主人が行って使い魔がお供をしないなんてありえないわ」


 雨の顔からさーっと血の気が引いていった。


 雨(なっ、何考えてるのさ! 根の国だよ。根の国なんだよ!?)

 俺「雨、ここで仕事をしないなら、本当に春日神社に帰ってもらうけど」

 雨(根の国に行くくらいなら春日神社でぼっちのほうがましだよっ)


 むー。これは本当にテコでも動かなさそうだ。仕方ない。雨は武甕槌に任せて置いてくか。


 武甕槌(天児屋、お前はいつまでそうなんだ!)

 雨(ひっ。武甕槌っ)


 などと考えていたら、武甕槌が突然怒鳴りこんできた。月☆読との話は片が付いたのか、月☆読はいつの間にかいなくなっていた。


 武甕槌(昔はお前は私の兄貴分で、いつも私をあちこちに引き摺っていっていたではないか。それが、どうして今はこんな腐り切ってしまったんだ)

 雨(僕は仕事なんて大嫌いなんだよっ)

 武甕槌(かぐや姫、申し訳ないが、このバカを根の国まで無理矢理にでも引き摺っていって性根を叩き直してきてくれ)

 雨(そんな人のことをモノみたいに言って)

 武甕槌(仕事をしないで食べて寝るだけの神はモノ以下だ)

 雨(むぐぐ)

 武甕槌(かぐや姫、この通り頼む)

 俺(分かったわ)


 仕方ないな。武甕槌みたいな偉い神さまにお願いされたら、無下に断ることもできないよね。


 俺は逃げられないように不思議な草のたねを巻いてつるを雨の手首に巻きつけ、根っこを切り取って引っ張って歩き始めた。


 雨(ちょっと、ご主人さま。離してよ)

 俺(だめだよ。武甕槌に約束したんだから)

 雨(ううー)


 並んで歩く俺とすせり姫、そして、手首を繋がれて後ろから歩いてくる雨。まるで罪人を根の国に連行するみたいになってしまったが、まあ、大差ないかもしれない。

というわけでとうとう根の国に連行されることになった雨。果たして彼は生きて再び地上に帰ってこれるのか!?


続きが気になりますが、例によってまた少しお休みさせていただきます。休み中には他の連載もご覧いただければと思います。


よろしくお願いします。

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