表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
276/362

弐百漆拾陸.世界級魔法

 天照『姫ちゃんは悪くないわ』

 武甕槌(そうです。元はといえば天照さまがかぐや姫をこの時代に連れてきたのが悪いんですよ)

 俺「確かに」

 天照『姫ちゃん、何でそこで相槌を打つのっ!』


 おっと、しまった。うっかり本音が漏れてしまった。


 俺「じゃあ、どうすればいいのかしら。ここから外に出ないようにしばらく引きこもってればいいの?」

 武甕槌(そのくらいでは不十分だ。どこかの神域に隔離して、神も人も接触禁止にするべきだ)


 え? それは流石にひどくないか? 牢屋じゃないんだから。


 天照『そんなのあたしが許さないよっ』

 武甕槌(天照さま)

 天照『何も悪くない姫ちゃんを閉じ込めるなんて信じられない。金輪際、姫ちゃんの行動を束縛することは「天照大御神の名において」禁止するわ』


 天照が「天照大御神の名において」と言ったところに魔力の高まりを感じた。多分、宣言したことを強制させるたぐいの魔法なんだろう。もしかすると天照のことだからここにいる人だけでなく全世界的に強制する魔法かもしれない。


 月☆読(お姉さま!)

 武甕槌(なんということを!)

 天照『これでもうあたしを倒さない限り、姫ちゃんは世界中のどこに行っても誰の束縛も受けないからね』


 やっぱり世界的な方っぽい。


 武甕槌(撤回してください)

 天照『嫌よ』

 武甕槌(人間界がどうなってもいいんですか)

 天照『嫌って言ったら嫌なの』

 武甕槌(天照さま!)

 天照『そうやってちょっと都合が悪くなったらすぐによってたかって人のことを閉じ込めて。少しは閉じ込められる側のことも考えてみてよっ』


 そういえば、天照は人から神になった時に暴走して封印されて、それ以来本体は高天原の結界に閉じ込められたままなんだった。


 武甕槌(世界の秩序のためです)

 天照『秩序が何? そんな秩序なら、ない方がマシよ』

 月☆読(武甕槌! お姉さまも堪えてください)


 天照が物騒なことを言い出したところで月☆読が仲裁に入った。


 ちなみに雨は天照と武甕槌の喧嘩が怖いのか向こうを向いて耳を抑えて床に臥せっている。頭を下げてお尻を高く上げている様子が扇情的……、いや、あいつは女装してるけど男だったっけ。


 天照『もういい。今日は帰る。武甕槌なんか大嫌いだっ!』

 月☆読(あっ、お姉さま、待って下さい)


 捨て台詞を残して飛び出した天照を追おうと立ち上がった月☆読を、武甕槌が袖を掴んで引き止めた。


 武甕槌(月詠さま、お待ち下さい)


 おお、月☆読が「月詠さま」とか呼ばれてる。違和感ありすぎ。


 月☆読(これ以上なんだというのですか、武甕槌)

 武甕槌(まだお話があります)

 月☆読(私にはこれからお姉さまをお慰めするという大切な使命があるのです。それを押してまで話すことというのはよほどのことなんでしょうね)


 月☆読に慰められて天照の気持ちが落ち着くような気があんまりしないんだが。あ、サンドバックになればいいのか!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ