弐百陸拾漆.グッジョブ
俺『ということで、明日から寛子が我が家にやってきます!』
権大納言が帰った後、早急に関係各所に連絡を取って寛子を迎える準備を進めた。事前の根回しが功を奏して誰にも文句を付けられることなく話が進んだ。
寛子にとっても身の振り方に困っていたところでの話だったので、すぐにこちらに来ることになった。もっとも、より積極的だったのは寛子よりも寛子のお母さんの方のようだったが。
雨(質問! 寛子は巨乳ですか?)
俺『いっぺん死んでこい!』
金髪縦ロールで巨乳なんてキャラ崩壊もいいところじゃないか。高貴で高飛車なお嬢様はバランスのいい適度な胸がベストマッチなんだよっ。だけど本人はちょっとだけ物足りなさを感じてるんだ。
といっても、実際の寛子は金髪でも縦ロールでもないのでただのイメージにすぎないのだが、折角だからいっそのこと髪を金色に染めるか。
俺『そんでもって、使用人の身分に落とされたお嬢様がメイド服に袖を通して羞恥に耐える姿が萌えるんだよー』
雪「姫さま、声が漏れてます」
やべ、聞かれてた。
雨(ご主人さまって、時々大国主と同じ目をすることあるよね)
墨「時々身の危険を感じる」
俺『何言ってるの、墨。それは愛情だよ、愛情』
雪「姫さま……」
雪まで俺のことをなぜか可哀想な目で見て来る。うう、おかしい。俺はご主人さまのはずなのに。
俺『ごほんっ。とにかく、寛子が明日ここにやってくるんだよ。ただし、ここには世間的にあまり公にできないものもたくさんあるから、寛子には試練を受けてもらう』
雪「試練?」
雪は俺が何を考えているか分からず首を傾げているが、雨と墨は何か気づいたようだ。
雨(ご主人さまのエッチ)
俺『お前は何を考えているんだ』
よく見ると墨までジト目で俺を見ている。ああ、あの可愛い墨がこんなに反抗的になっちゃって。一体誰のせいかしら。
墨「姫ひゃま、いたひでふ」
おっといけない。ついかっとなって墨のほっぺたを両側から引っ張ってしまった。
俺『試練というか、寛子を俺の使い魔にしようと思うんだ。そうすれば念話も使えるし、魔法も少し使えるようになるし、俺の魅力に対する抵抗もつくし、一石二鳥じゃないかなと』
雨(間違ってないじゃないかっ)
俺『なんでだよっ』
雨(そりゃあもう、使い魔になったらご主人さまに従順になることをいいことにあんなことやこんなこととかやりたい放題じゃんっ)
俺『お前のどこが従順なんだよ』
雪「確かに」
墨「確かに」
雨(ええっ!?)
雪と墨、グッジョブ!
金髪縦ロールに対するかぐや姫の意見はあくまでもかぐや姫のもので、作者の意見ではありません。