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弐百伍拾玖.善は急げ

 墨(俺)「でしたら、誰か代表の方、1人に京の方まで同行いただけませんでしょうか? 契約内容の詳細を決めるにも作っていただく細工の詳細を説明するにも、誰か来ていただいたほうが早いと思いますので」

 職人「そういうことでしたら、私が行きましょう」

 墨(俺)「そうですか。では、早速」

 職人「今からですか?」

 墨(俺)「善は急げと言いますから」


 そう言って職人を連れて外に出たところで、俺は墨に話しかけた。


 俺(墨)

 墨(はい)

 俺(もう復唱はいいから。お前はこれからその職人を連れて屋敷に戻ってきて。帰りも雨に運ばせればいいから。そういえば雨は?)

 墨(一緒に来ているはずですけど)


 墨がイッチーたちに雨の事を聞くと、イッチーたちは雨を降ろした所に案内してくれた。


 俺(雨)

 雨(あ、ご主人さま)

 俺(今から墨と人間を1人運んで一刻も早く屋敷まで戻ってこい)

 雨(人間って巨乳の女の人?)

 俺(男だ)

 雨(無理っ。墨を運んだだけでも死にそうなのに、追加で男もなんてできるわけないっ)

 俺(そうか。根の国……)

 雨(ううー。そんなことを言ったって無理なものは無理なんだよ)


 珍しく本気で弱った様子の雨に、これは本当に無理なのかと困ってしまった。


 日の差し込む角度から見て、日没まで後1時間を切っている。今から雨が2人を背負って全力で飛ばしてもぎりぎり間に合うかどうかというところなのだ。


 俺(くっ、……あ、後で、ぱふぱふして上げてもダメか?)

 墨(ひっ、姫さま!?)


 背に腹は変えられない。関白と結婚するくらいなら雨に胸を触られるくらい我慢しよう。でも、ちょっとでも変なところを触ったら根の国直行だけどなっ。


 雨(や、やる。例えこの身が滅びようとも。ご主人さまのぱふぱふのためなら、例え火の中水の中……)


 そんなにまでしてぱふぱふしたいのかっ!


 自分で言ったこととはいえちょっとドン引きなのだが、とりあえず作戦は功を成したようだ。


 俺(ただし、日没までに屋敷に戻ってこれなかったら根の国だぞ)

 雨(根の国が怖くてぱふぱふができるかっ)


 ……ちょっと後悔してるかも。雨のやつ、気合入りすぎだろ。


 しかし、とにかく、どうにかこれで首の皮一枚繋がった。後は雨のエロパワーに期待するしかない。

「善は急げ」というのは法句経というお経の一節なのだそうです。法句経は鎌倉仏教以来長く忘れられたお経になっていたようですが、平安時代には仏教に造形の深い人にはある程度は知られていたのではないかと想像されるので、ここでかぐや姫が口にするのもそんなに不思議ではないのではないかと思います。

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