表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/362

弐百肆拾.セイフティ

 天照『!』

 俺『!』


 式神に何かが起きた。


 天照が鋭い反応を見せたその瞬間、俺はそう直感した。多分、俺と式神の間にある記憶のリンクが急に変化したのがその違和感につながったのだと思う。


 俺『天照』

 天照『姫ちゃんの式神が消滅した』

 俺『なんで?』

 天照『分からない。式神には安全装置セイフティとしてすごくびっくりした時に強制的に紙に戻る機能があるから、それが発動したせいだと思うけど』

 俺『なんでそんな機能を』

 天照『最終兵器ファイナルウエポンには安全装置セイフティが必須なんだよ! そうじゃないと、うっかり世界を滅ぼすかもしれないんだよ!! 浪漫ろまんなんだよ!!!』


 何を言っているのか分からないが、無駄機能だということはよく分かった。


 俺『とにかく式神の身に何か起きたのは確実なんだな』

 天照『うん』

 俺『じゃ、いくぞ』

 雨(置いてかないで!)


 湿布が何か言っているが、湿布なので無視して急いで屋敷に戻った。



 雪「かぐや姫さまっ」

 俺「雪、どうしたの、一体?」


 俺たちの姿を見ると、雪は俺たちの元に駆け寄ってきた。


 雪「急に帝がいらっしゃって、かぐや姫さまに会わせるよう、仰ったのです」

 天照『ほお?』


 あいつか。いきなり事前連絡もなく来るなんて無礼なやつだな。きっぱり追い返してしまえばよかったのに。


 とはいえ、この世界の常識だと、帝がやることは基本的には何であっても正しいことだから、応対を間違えるとこっちが罪に問われてしまう。雪にそれを求めるのは酷というものか。


 ちなみに、この屋敷の結界の侵入者排除機能はこの家の住人なら解除できる。この離れにしても、雪が許可したら誰でも入ってこれるのだ。


 雪「それで、式神さまが代わりに帝とお話をされたのですが、帝が式神さまを口説かれていたかと思うと、急に式神さまを押し倒して、そうしたら式神さまが急に消えてしまって……」

 天照『死刑』

 俺『ちょっと待て』

 天照『だって、姫ちゃんが出掛けてなかったら、犠牲者は姫ちゃんだったんだよ』

 俺『俺だったら返り討ちにしてやったよ』

 天照『大体、そもそも姫ちゃんにそういうことをしようという考えそのものが犯罪だよ』


 天照は雪の話に怒りまくっていて、なぜか俺がなだめ役に回っていた。でも、被害者はむしろ俺なんじゃないの?


 俺「雪はなにもされなかったの?」

 雪「はい。私には何も。帝は式神さまが消えた後、すぐお帰りになりました」

 天照『姫ちゃん、行くよ!』

 俺『どこに!?』

 天照『決まってるでしょ。神に仇なす愚かな眷属にきつーいお灸をすえてやるのよ』


 ああ、日本、終わったな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ