弐百参拾玖.ブラック・○ャック
天照『えーいっ』
天照がその残念な1匹にマジカルスティックを向けると、雨は1枚の湿布に化けた。
雨(え? 何? これ、どういうこと? 動けないよ!?)
雨の念話が頭に響く。口がなくなっても念話は使えるんだな。うるさい。
天照『んー。骨折が治るまで神力を供給し続けてあげるほうが綺麗に早く治るんだけど、天児屋は湿布になって患部に神力を供給してあげて』
雨(ま、まさか、僕をその男の尻に貼るつもりか!?)
天照『うん。あ、大丈夫。治ったら自動的に変身が解けるようになってるから』
雨(治るまで僕はこの男の尻に密着し続けるのか!!?)
天照『そうだよ。暇でしょ。人助け人助け。いつもニートなんだから、たまには眷属の面倒くらいみたらいいじゃん』
雨(ぐはっ)
天照の心ある言葉に雨は血を吐いた……ような錯覚がした。湿布は口がないから血も吐けないのだ。
天照『じゃー、治療、始めよー!』
そう言って、天照は治療を開始した。治療は、端的に言えば3次元パズルだった。骨折している骨を取り出して、組み立て直して、もう一度戻してあげる。最後は雨の湿布を貼って完成。
俺と天照は目の前に広げられた骨を手に、あーでもないこうでもないと組み立て作業に没頭したのだった。
なお、白衣とナース服は特に治療には関係なかった。
雨(鬼ー! 悪魔ー!! 神でなしー!!!)
天照『ふぅ。医者はひとのからだは治せても、歪んだ心は治せないのよ』
俺『だから、神さまには心の歪んだ奴が多いのか』
思わせぶりなセリフを言いながら雨の湿布を貼る天照だが、治療が必要な心の持ち主の筆頭が自分自身だということには気づいていないようだった。
というわけで、中納言の件は一件落着。と思っていたら、この後急展開が!?
書き溜めが尽きましたので、次話の投稿までまた少し空きます。もうしばらくお待ち下さい。