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弐百参拾肆.ぺろぺろ

 確かに大国主ならこういう治療も得意だろう。でも、今、出雲に帰っちゃってるから、今から速攻で行って帰ってきても夜半は過ぎちゃうな。


 そうだ。天照なら治療できるんじゃないか?


 俺『天照じゃダメなのか?』

 雨(あー、天照はなんでもできるよ)


 よし。じゃあ、夜になってから天照にお出ましいただこう。今日は満月で月☆読の監視が甘いから間違いなく遊びに来るだろ。



 俺「……、遅いわ」


 夜になり、満月が高くなってきたのになかなか現れない天照に俺はやきもきしていた。まさか今日は来ないつもりなんだろうか。こんなことならさっさと出雲の大国主のところまで行けばよかったかも。


 俺は再び空を見上げて月の位置を確認した。月はまだ頂上まで半分くらい登ったところだ。あれが登りきったら諦めて大国主を呼びに行こう。明日の杵築大社は臨時休業だ。


 そう思った時、俺の視界は何かに突然塞がれた。


 天照『ごめーん。これ作ってたら遅くなっちゃった!』


 視界を塞いだものは、急に庭に現れた白い巨大な塊で、何だか甘い匂いの漂ってくる円筒形の物だった。


 天照『姫ちゃーん、おめでとー!』


 甘くて白いものを見上げる俺の視界の外からタックルを仕掛けてきた天照を軽く躱して足を引っ掛けてやると、派手な感じにすっ転んだ。


 天照『ふぇ? わぁっ』


 ずさささささーー! バリッ ガシャンガシャン


 俺『いや、それはいくら何でも転け方が大袈裟すぎだろ……』


 転けた拍子にわざとらしくいろいろなものに迷惑を掛けている天照は放っておいて、俺は天照が持ち込んだ巨大な白いものを確認した。


 とにかく甘い匂いがするもので、白い色は表面に何かを塗っているようだ。試しにちょっと触って見ると、柔らかくて湿っていて、ずぶずぶと指が中に沈んでいく。


 何か気持ち悪い。


 指を引き抜くと、白いものが指についてしまった。


 天照『あーむっ』


 ぺろぺろ


 と、突然、天照が俺の指を白いものと一緒に舐め始めた。

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