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弐百弐拾参.ひな祭り

 ひな祭りだ。


 俺が女になって初めての女の子の節句だ。つまり、初節句だ。しかし、残念ながら平安時代に雛人形を飾る習慣はないのであった。


 絶対現代に戻ったら7段飾りの雛人形を飾るんだ!と思って、俺がもともと男だったことを思い出してびっくりした。なんで男の俺が雛飾りなんか飾らなきゃならないんだよ!


 雪「かぐや姫さま、そろそろ」

 俺「はーい。今行く」


 話を戻して、今日は弥生3日のひな祭りの日だ。ただし、平安時代にはひな祭りとは呼ばれず、別名の上巳じょうしの節句の方で呼ばれた。元々は3月上旬の巳の日に行う行事だったために付けられた名前だが、いつ頃からか3日に固定されるようになったのだ。


 この時代、上巳の節句では曲水ごくすいの宴という催しが行われるのが慣例だった。この行事は、貴族の私邸を流れる水に盃を流して、盃が届く前に和歌を呼んで盃の中身を呑むという、和歌と酒を両方堪能できる優雅な行事なのだ。


 ……、俺には桜並木の下でビニールシートを敷いて缶ビールを片手に流行歌を熱唱しているサラリーマンと大差ないようにしか思えないが。


 とにかく、そんな由緒正しい行事に中宮さまからお誘いがかかってしまったのだ。これは伺わざるを得ない。お酒とか、生まれて一度も飲んだことないんだけど。


 俺「大丈夫かな?」

 雪「何がですか?」

 俺「お酒のこと」

 雪「一度にあまりたくさん飲んでしまうと危険なこともありますけど、曲水の宴は飲む量が少しずつですから、気分が悪くなる前にお休みなされば大丈夫ですよ」

 俺「そうかな」

 雪「はい。もし気分が悪くなったらすぐに私に言ってください」

 俺「わかった。お願いね、雪」


 今日、中宮が主催で行う曲水の宴は、極めて小規模な内輪の会だ。今年は関白が京を離れているため、比較的小規模な曲水の宴が各地で行われることとなり、中宮が行うのもそういったものの一つだ。


 参加者は中宮の側近の女房の他、俺、雪、明子、寛子が呼ばれていた。五節の舞の時の面子がまた揃うことになる。明子と対面で話すのも久しぶりだ。


 明子「かぐや姫さん、お久しぶりです」

 俺「お久しぶり、明子さん」


 俺と明子はなるべく近くに席を取って、さっそくひそひそ話を始めた。


 明子「それで、例の件なんですが」


 明子みたいな美少女から、人目を気にしながらひそひそ声で囁かれると興奮する。耳元で言われるともっとぞくぞくするかも。


 明子「かぐや姫さん?」

 俺「ごめんなさい。ぼーっとしてました」

 明子「何かいいアイデアはないでしょうか」


 例の件というのは、明子の入内を阻止しようという件のことだ。何度か手紙で相談を受けているが未だに有効な返事が返せていない。

そういえば、今日は9月9日で重陽の節句、別名、菊の節句ですね。皆さんは何かしますか?

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