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弐百拾参.人生相談

 別に天照とはやましい関係ではないつもりだけど、天照にキスされたり抱きしめたり抱きしめられたり、ちょっといい雰囲気になっていたり、雪に見られるのは恥ずかしいことがいろいろあった気がする。


 とりあえず、何かフォローを……


 と思って俺が何か言おうとするより早く、天照は雪を大胆に抱きしめた。


 天照『それから、雪ちゃんのことも好きだよっ』

 雪「えっ、えっ??」

 天照『姫ちゃんが怒ってる時、何回も相談に乗ってくれたもんね』


 情熱的な天照のハグに耐えかねたのか、視線をなんども俺に向けて助けを求める雪。


 何だか雪のその困惑っぷりが小動物的な可愛さで、天照と一緒になってハグしたくなってくるが、それはぐっと堪えて雪の信頼に応えることにした。


 バチコンッ


 天照『げふっ』


 後ろから近づいて天照の頭をはたいてやると、お約束のように顔から床に突っ伏す天照。手荒なようだけど、天照の耐久力ならどうせ傷つくのは床の方だ。


 俺「雪、大丈夫?」

 雪「はい。でも、天照さんは?」

 俺「大丈夫よ。天照は殺しても死ぬほどやわじゃないわ」

 天照『姫ちゃん、その言い方はひどいと思う』

 俺『事実だし』


 俺の暴言にショックを受けた様子で廊下の隅でいじけて「の」の字を書き始めたが、いつものことなので放置しておくことにする。


 俺「あ、あの、雪。今のはね」

 雪「分かってます。あの……、全部、聞いてましたから」


 雪はそう言って少し恥ずかしそうに目を伏せた。多分、盗み聞きをしていたことを恥ずかしがっているのだと思うけど、それよりも、


 俺「え、天照とは現代語で話してたと思ったけど……?」

 雪「もう聞く方はだいぶ聞けるんです。話す方はまだ難しいですけど」

 俺「そうなの?」

 雪「それに、天照さまの気持ちは前から分かってましたし」

 俺「もしかして、そんなことまで、雪に相談してたの?」


 何回も相談していると言っていたけど、雪の人の良さにつけこんでそんなことまで相談してたとしたら、ちょっとどうかしてると思ったが、


 雪「違います。天照さまは何も言ってません。でも、態度にすぐ現れる方ですから見てればわかります。大体、そもそもかぐや姫さまを未来から連れてきたくらいなんですから」


 そういえばそうだった。天照は初めから気持ちを隠してなんかいなかったっけ。典型的な直情径行タイプだもんな。

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