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百玖拾肆.紳士

 雨(別に加護持ちってそんなに珍しいものでもないし)

 俺『え、そうなの?』

 雨(現に僕の加護を持ってる人間だって、平安京に何人かはいるしね)

 俺『そうなんだ』

 雨(ま、たいていは弱い加護なんだけど、たまにそこそこ強いのもいるよね)

 天照『そういうこと。じゃ、ちゃっちゃとやっちゃおうぜ』

 俺『軽いな』


 そう言うと、天照は中宮の身体にかかっていた袿を剥ぎ取り、小袖の帯を解き始めた。見た目よりも意外に大きい双丘がはだけた小袖の合わせ目からちらちらと覗いて妙に扇情的だ。


 雨(おおーーっ。ktkr)

 俺『ちょー、ストップストップ』

 天照『何?』

 俺『何で服を脱がす?』

 天照『そりゃー、直接触るほうが効き目がいいからに決まってるじゃん』


 何を言っているんだ、とでも言いたげな天照の視線に、何かこっちが間違ったことを言っているのではないかと不安になるが、ここは断じて引く所ではない。


 俺『雨、お前、外』

 雨(えー。それはひどいよ、ご主人さま)

 俺『ひどくない。いやでも力づくで外に出す』

 雨(えー、じゃあ、力づくがいいなー。ポッ)

 俺『さっさと出ていけ』


 メキャッ


 雨(あれーっ)


 名探偵コ○ンばりのスーパーキックで空の彼方に雨を送り届けた後、何事もなかったかのように振り向いて天照に言った。


 俺『続けて』


 その後のことは想像にお任せするが、天照は大変紳士的だったとだけ伝えておこうと思う。これが、雨が加護を与えるという話になっていたら、俺はこれからも雨と今まで通り普通に話ができるかどうか疑問だったに違いない。


 俺『なあ、天照。俺も天照の加護持ちのはずだけど、同じようなことをしたのか?』

 天照『するわけないじゃん。これは生まれてくる赤ちゃんのためのやり方なんだから』

 俺『そ、そうだよな。しないよな』


 如何にも無邪気で邪念のなさそうな天照にこういうことを聞くのは、自分が汚れたようで残念な気持ちになるが、人としての尊厳に関わることなのだから聞かざるを得ない。しかし、よかった、何もなくて。


 天照『姫ちゃんの場合は、そっくりの式神を作るためにこんな程度じゃ済まないようなあんなことやそんなことまでしたからね』

 俺『ひゃぁっ』


 もうダメだ。俺、お嫁に行けない……。

GWも平日は更新します。次は水曜日です。

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