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百玖拾参.見えざる神の手

 俺「雨、立てる?」

 雨(なんとか……)


 ふらふらと立ち上がった雨だったが、貧血なのか足元が覚束ない様子で、すぐによろよろと倒れそうになった。


 俺「あぶない」

 雨(ありがとうございます。ご主人さま)

 俺「もしかして、どさくさに紛れて抱きつけてラッキーとか思ってない?」

 雨(……、ヒュー、ヒュヒュー)


 どうして下手糞な口笛まで念話になるのか。初めっから誤魔化す気ゼロだろ。


 俺「そういえば、この鬼はどうして催眠香で眠らなかったのかしら? 神さまの雨まで寝そうになってたのに」

 天照『それは天児屋のステ振りが極端だからだよ』

 俺『……、言いたいことは分かったが、どうしてお前はそういう分かりにくい言い方をするんだ』


 要するに、雨の場合は、単に魔法耐性が極端に低いだけなのだ。それだけじゃなく、筋力とかも弱いから、戦闘向けの能力が全般的に低いに違いない。そういえば、前に、武甕槌たけみかづちのことを脳筋といってバカにしてたな。


 天照『終わった』


 そんなことを話しているうちに、鬼の魔改造が終わったらしい。


 鬼(僕、いい子)


 異形の大男は妙にすっきりした顔つきで、つぶらな瞳が可愛い鬼に変身を遂げていた。もちろん服装その他外観は何も変わっていないのだけど。


 天照『もう悪いことはしちゃだめだよ』

 鬼(僕、もう悪いこと、しない)

 天照『じゃ、行っていいよ』

 鬼(僕、行く)


 可愛らしく手を振って去っていく異形の鬼の姿を見て、改めて天照の恐ろしさを実感した俺だった。


 俺『あいつ、あれでこれから式神としてやっていけるのかな』


 考えてみれば、俺も天照に魔改造された口なのだ。姿形は違えど他人ごととは思えないところがある。鬼よ、今後何があっても心を折らずに強く生きてくれ。


 雨(でも、あれが陰陽師の式神だとすれば、あれを追い払ってもそのうちまた別の式神が来るんじゃないかな。そしたらどうするの? また追い払うの?)

 俺「うーん」

 天照『簡単だよ』


 天照は事も無げにそう言った。


 天照『次の子にあたしが加護を与えれば、あんなくらいの鬼じゃ手も足も出ないわよ』

 俺『えっと、それはまずいんじゃない?』

 天照『なんで?』

 俺『だって、加護ってそんな乱発するものなの?』

 天照『細かいことはいいのよ。どうせもともと天皇家にはあたしの加護が代々受け継がれてるんだから、ちょっとくらい加護が増えても誤差の範囲だわ』


 誤差なのか!?

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