百捌拾捌.呼語
俺「雨、あなた一応神さまなんでしょ? ぼっちだけどさ。だったら子宝祈願のお願いとかされたりするんじゃないの?」
雨(ぼっちは余計だよっ。そういうのは専門の神さまがいるけど、僕でもできるよ。そんなに難しいお願いじゃないしね)
俺「そうなんだ。じゃあ、お願いしようかな」
雨(ご主人さまって意外に大胆。案外、激しいのが好きだったりして。あ、ご主人さまは男の子と女の子のどっちが……)
グサッ
俺「次は刺すわよ」
雨(もう、刺さってるよ)
雨は眉間に刺さった太刀を引き抜きながら言った。
雨(ご主人さまじゃなかったら、誰に子宝を授ければいいのさ)
俺「中宮さまよ」
雪「ええっ」
雨(……、中宮さまって隠れ巨乳っぽかったよね。うへへ)
俺「ただし、お触り禁止よ」
雨(えーっ。そ、そんな高度なプレイ……)
夜、人々が寝静まる頃、俺はこっそりと起き上がって、雨を揺り動かした。
俺「雨、起きて、雨」
雨(ご主人さま、それ以上はダメ。あぁっ、僕、もう我慢できないっ)
俺「さっさと起きろ」
ゴツン
雨(ご主人さま、おはようございます)
俺「まだ夜よ。よく見て」
雨(おやすみなさい)
ゴツン
俺「行くよ」
雨(こんな夜中にどこに行くのさ)
俺「中宮さまのところよ」
雨(あっ、「呼ばひ」だね)
俺「違っ……、いや、ある意味、正しいかもしれないけど……、もうちょっと言い方はないの?」
雨(じゃあ、「語らひ」だね)
俺「もっと直接的な感じがするじゃないっ。顔が赤くなっちゃうよっ」
雨(じゃあ、「セ……)
俺「わーわーわー」
俺は太刀を振るって雨を黙らせると、連れ立って中宮の御所へと向かった。もう夜も遅く、誰かに見られる心配もないので、空を飛んで行こう。