百捌拾.上からかぐや
いつの間にか墨も近くに来ていて、俺たちは温泉の側で6人、輪になるように並んでいた。
俺「あなたたち、苦労してきたのね」
少女A(そんな苦労してきたつもりはないんだけど)
少女C(それより、あなたがかぐや姫だってのは分かったけど、変わった服を着た残りの2人は誰?)
俺「あ、こっちが私の女房の雪で、こっちが使い魔の墨。雪が着てるのはメイド服で、墨が着てるのはワンピース。どっちも天照から貰ったものなのよ」
少女C(なるほど。この服はお母様のセンスなのね。私は長女の市杵島姫。イッチーって呼んでいいわよ)
少女B(私は次女の田心姫。タゴリンって呼んで)
少女A(最後の私が三女の湍津姫。タギちゃんだよ)
俺「よろしくー。ところで、こんなところで立ち話もなんだから、温泉に浸かりながら話さない?」
俺はそう言いながら、早速着物を脱ぎ始めた。そういえば朝ごはんがまだだった気がするけど、朝飯前のお風呂というのもまたいいものだ。
イッチー(そうだ。その温泉のことで私たちはここに来たのよっ)
タゴリン(へー、こうやって浸かるんですね)
タギちゃん(はあぁぁぁぁ。ちょっと熱いけど、気持ちいいですね)
俺「でしょー」
イッチー(ちょっと、タゴリン、タギちゃん、流されすぎっ)
タゴリン(イッチーもおいでよ。気持ちいーよー)
イッチー(わっ、私は、別にいいよ……)
タギちゃん(もう、恥ずがしがっちゃって)
イッチー(やっ、ちょっと、タギちゃん。無理矢理脱がしちゃイヤ。分かった。分かったわよ。入るから、自分で)
タギちゃんに着物を脱がされそうになったイッチーは仕方なく自分で抜いで恥ずかしそうに前を隠しながら温泉に入ってきた。
イッチー(んんっ。ふぅぅぅぅ)
三姉妹の容姿はほとんど同じで、雪よりちょっと低い身長で、スレンダーな手足、発育途上の胸とお尻が眩しい美少女だ。でも、胸は雪よりあるんだなこれが。……、もちろん神さまだから当然、実年齢は数百歳以上は確実で、発育途上じゃなくてこれで完成形なんだけどね。
タギちゃん(イッチーはお姉ちゃんなのに胸がちょっと小さいから、コンプレックスなのよね)
イッチー(なぁっ)
タゴリン(別にそんなに変わんないと思うんだけどなー)
イッチーの手は相変わらず胸の前に置かれたままなのでよく見えないけど、本当にちょっと小さめなのだろうか。むむむ。
俺「大丈夫よ、イッチー。あんなのはあっても別にいいもんじゃないのよ。むしろ慎ましやかな方が素敵だっていう人もいるの。私もその意見に賛成だわ」
イッチー(あっ、あっ、あなたみたいに恵まれた人に私の気持ちなんてわからないのよーーっ)
そう言ってイッチーは泣き出してしまった。残りの4人もジト目でこっちを見つめてくる。なんか、俺、悪者っぽい?
よく考えたら、この6人の中で俺だけ巨乳なんだっけ。さっきの発言は強者が弱者を上から目線で同情したっぽく聞こえちゃったのか。うーん。そんなつもりはなかったのに……
俺「あの、ごめんね」
イッチー(ごめんなんて言われたくないのっ)
ああ、もうどうすればいいんだ。