百漆拾捌.龍の数え方が分かりません
龍C(おい、そこの人間)
俺「え、私のこと?」
龍C(お主、我らが龍の縄張りで何をしておる)
急に畏まって威厳のある話し方で話し始めた。今度は普通の人間でも聞こえる強い念を送ってきているのだけど、それまでの弱い念話も全部聞こえていた俺には何だかむしろコントをしているようにしか聞こえなくて、逆に可笑しい。
視線の高さが合わなくて話づらいと思ったので、八咫烏の羽を取り出して宙へ舞い上がった。
龍C(なっ、お主、陰陽師かっ)
途端に龍3匹(もしかして3頭?)に緊張が走る。後ろの2匹(もしかして2頭?)はいつでも神力を開放できるように集中を高めているようだ。
俺「すいません、ちょっと温泉旅行に来ただけなんですけど、何かありましたか?」
龍C(温泉? 温泉って何だ?)
龍B(分かんない。タギちゃんは知ってる?)
龍A(知らない)
俺「温泉って言うのはこれですよ」
そう言って、俺は昨日作ったばかりの温泉の脇に降り立つ。
龍B(こっ、これはっ)
龍A(おい、人間。なぜこのようなものがここにある!?)
俺「えっと、どういうことですか?」
龍3匹(もしかして3頭?)は俺に顔を寄せて詰め寄ってきた。
雪「かっ、かぐや姫さまっ」
と、突然ロッジのドアが開いて、雪がメイド服のまま飛び出してきて俺の前に立った。
雪「かっ、かかか、かぐや姫さまに何かするなら、かっ、代わりに、私からっ」
見ると雪は全身ぶるぶると震えていた。前に天照に啖呵を切ったことがあるが、あの時よりも緊張しているようだ。確かに、見た目はこっちの方が怖いかもな。
俺「雪、大丈夫よ。この龍たちは私には危害は加えないわ。私、この娘たちが誰か分かったもの」
龍C(どういうことだ?)
俺「どの娘がどの娘か分からないけど、市杵島姫に田心姫に湍津姫でしょ」
なんか、名前を呼び合っていた気もするけど、正直、龍の個体識別とか難易度高すぎ。
龍C(あ、あなたは一体……?)
俺「私はかぐや姫。よろしくね」
龍A(えー、それじゃあ、あなたがあの?)
龍B(慌てないで、タギちゃん。陰陽師だったらそのくらいの嘘、つきかねないわよ)
龍A(はっ、そうだった。本当なら証拠を出してみろっ)
俺「証拠かぁ。そうだ。雪のこのメイド服、天照がくれたものだけど、どこかに印とかついてたりしないかしら?」
活動報告の代わりにブログをつけて見ることにしました。
http://tomo161382.blogspot.com/
内容や頻度はこれまでの活動報告と大差ないと思いますが、読んだラノベやマンガや見たアニメの話とかしていくかもしれません。