百漆拾漆.萌えよドラゴンズ!
雪「それはダメですっ」
やっぱだめか。
ダァーーン、ドォーーン
と、突然、地響きのような音と振動がロッジを揺さぶった。
俺「な、何?」
雪「かぐや姫さま!」
明らかな異常事態に雪と墨は慌てて俺の側に駆け寄って来た。
ふと気づくと、明るかったはずの外が夜のように暗くなっていた。
俺「あ、あれは!」
雪「かっ、かぐや姫さま」
外に現れたものを見た俺は、雪の制止を振り切ってロッジの外に飛び出した。
俺「これが、……、龍……」
外にいたのは正しく龍だった。しかも、3匹も。いや、龍は3頭と数えるのが正しいのか?
その外観は正にドラ○ンボールのあれでした。もちろんナ○ック星じゃない方で。
俺「あっ、カメラ、カメラ」
慌てて俺はいかにも日本人的な発想でロッジにデジカメを取りに戻って、目の前に出現した奇跡をメモリカードに残し始めた。
龍A(タゴリン、もしかしてこの娘かな)
龍B(分かんない。普通の人間に見えるけど。イッチーはどう思う?)
龍C(この娘、私たちを見て怖くないのかしらね)
俺が写真を撮っている間、龍たちは何か話をしているようだった。その声は意外なことに可愛らしい少女のようだったので龍の姿にそぐわない気がしたものの、それ以上に今はシャッターを切るほうが大切なことだった。
龍A(そういえばそうね。前に船で私たちを探しに来たっていう人間なんて、ちょっと驚かせたらすぐにひっくり返って動かなくなっちゃったもんね)
龍C(そうそう。あれは本当に可笑しかったわよねー)
龍B(いかにも偉そうに周りの人間を顎で使ってたくせにさ、一番最初にひっくり返って気絶しちゃうんだもん)
龍C(あれでも多分人間の中じゃ偉い人なんじゃない? 着てるものとかはまあまあいいものだったみたいだし)
龍A(えー、趣味悪ーい)
龍C(あくまでも人間の中でよ。あたしの趣味じゃないわ)
龍B(そういえば、なんか偉そうな人間がもう一人来てたわよね。あっちは驚かしても全然驚いてくれなかったけど)
龍A(あれは単に鈍感なのよ。だって、目の前にまで出ていってあげたのに気づきもしないのよ)
龍C(それに比べるとこの娘はなんていうか……)
龍B(慣れてるわね)
あれ、なんかこっち見てるような気がするけど。写真に興味があるのかな?
来週月曜日は私用のため更新をお休みさせて頂きます。次回更新は水曜日の予定です。