百漆拾参.あぁ、中学二年生
すでに季節は冬。日も暮れると外は寒くなってしまうはずなのだが、エターナル・フォース・ダーク・フレイム・キャンプファイヤーの効果で全く寒さを感じない。
雪「それにしても、かぐや姫さまがあれを鍋に入れた時にはどうなることかと思いました。だってあれですよ。それがこんなに美味しいお肉に……」
俺「ちょっと待って。思い出させないで、お願いだから」
すいません。あの時はちょっとテンション高めで調子に乗ってたんです。今は反省しています。許してー。
墨「あれはもともと美味しい……」
俺「マジでっ!!」
さて、日も暮れて大分時間もたったし、来るならそろそろかな。
『姫ちゃーん』
ほら来た。
天照『やっと巡り会えたというのか……。くっ、目が、目が共鳴している。あなたを見つけるために、幾星霜の時を経てここに来た』
雨のダーク・フレイムなんとかといい、最近の平安時代の流行りなのかね。
俺『なんだ、その眼帯は』
天照『これは何人も触れてはいけない……』
俺『あー、ハイハイ。分かった』
天照『ちょ、まだ話してる途中』
俺『いい、分かった。なんとなく』
なんとなく、真面目に付き合ったら夜が明けてしまいそうだ。あと、現代語でしか話せない内容だと雪がついていけない。
俺「ところで、どうしてこんなところまで来たの? 何かご用?」
天照(何言ってんのさ。温泉旅行なんて楽しそうなことをあたし抜きでやるなんて、この邪王○眼が許しても、天照大御神は許さないんだからね)
俺「なんか言ってることがおかしい気がする」
ていうか、中途半端な中二病設定よりこいつは存在自体がキテるんだから、素のままで十分アレだと思うんだけど。
天照(じゃ、温泉入ろっか)
俺「ちょっと、まだ服は脱がないで。温泉はないのよ」
天照(え? なんで? あんなに掘ってたのに?)
俺「グサッ……」
天照(何何? どうしたの?)
墨「かぐや姫さま。全部、外れた」
天照(あんなに掘ったのに?)
墨「うん」
俺「そんな目で私を見ないでっ」
天照の視線に耐え切れなくなった俺は、雪の後ろに回り込んだ。やさしい雪は振り返って俺を抱きしめて頭を撫でてくれた。
天照(そっかー。やっぱダウジングはガセネタだったか。いまいち怪しいとおもってたんだよね。次の版から削除しておかないと。メモメモ。……、よしっ、じゃ、あたしのとっておきを見せてあげる)