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百漆拾壱.レゾンデートル

 雪「おん……せん……ですか?」

 俺「そ。露天風呂とか素敵よね。ちょうどいい具合に紅葉の季節だし」


 今は時は神無月後半。山の方では木々がいい具合に色づいてきている。紅葉の下で入る露天風呂。しかも雪と一緒。想像するだけでにやけてくる。


 俺「よし、決めた。明日から瀬戸内海へ温泉旅行だわ」


 そのついでに龍の正体も見届けてこよう。


 雨(えっ、旅行!?)

 俺「そうよ。だから、雨はお留守番ね」

 雨(なんでだよっ)

 俺「だって、今回は雪と行く旅行だから。雪には前にずっと留守番してもらったしね」

 雨(じゃあ、みんなで行けばいいじゃないかっ)

 雪「あ、あの、私、京を離れるには許可を頂かないと」

 俺「大丈夫よ。そのために雨を身代わりに残すんだから」

 雨(どういう意味?)

 俺「雨にはね、雪の身代わりになってもらうんだよ」


 ポカーンとした顔で俺を見つめる2人に、俺は力強く頷いた。


 それから1時間ほどで、雪の服を着て雪に似せたかつらと化粧で変装した雨がいた。


 俺「うん。背丈が違うけど、座ってれば分かんないよ。よしよし」

 雨(よしよしじゃないよっ。無理無理。喋ったら絶対バレちゃうよ)

 俺「大丈夫。雪は明日から生理になったってことにして部屋に引きこもっちゃえばいいんだよ」

 雨(は?)

 俺「だからさ、生理になったら穢れがどうとかで誰も近寄らなくなるから、部屋に引きこもっちゃえば誰も話しかけたりしないから」

 雪「なるほど」

 雨(ちょっと待って。それって雪の身代わりになるのは誰でもよくない?)


 雪とともに一瞬納得しかけた雨だったが、ぎりぎりのところで踏みとどまって反論してきた。


 俺「まあね」

 雨(だったらその貧相な猫にさせればいいじゃん。なんで僕みたいな高貴な存在が留守番なんて……)

 俺「あのね。私たちが行くのは温泉なのよ。露天風呂なのよ。そんなところに男のあなたが行って何をしようっていうの?」

 雨(だからこそじゃないかっ。露天風呂は……、覗くためにあるんだっ)


 ガツン


 雨(ギャン)

 俺「何バカなこと言ってんのよ。とにかく、留守番は雨と式神と三羽烏で、雪と墨は明日から私と一緒に温泉旅行よ」

 雨(式神?)

 俺「あ、雨は式神初めてだっけ。見た目は私そっくりだけど、中身は私と違って性悪だから気をつけてね」

 雨(ご主人さまのそっくりさんと一つ屋根の下で2人きり……。ぐふふふふ)


 ガツン


 雨(ギャン)

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