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百陸拾陸.語学の先生

 俺『その話は今はダメッ』

 天照『なんで?』


 俺はとっさに雪に話の内容を聞かれないように現代語で話した。俺のあまりの慌て様に天照は不思議そうな顔をしていたが、天照も俺に合わせて現代語で返してくれた。


 俺『ダメなものはダメなんだよ。とにかく現代のことを話すのは雪の前では禁止!』

 天照『うーん。分かんないけど、分かったよ』


 天照の聞き分けのよさにほっとしながら、俺たちは雪の下へと戻った。


 雪「どうしました? なんか、変ですよ、かぐや姫さま」

 俺「そ、そうかしら、ははは」


 これでようやく一安心と思った時、爆弾は今度は雪の側から投げ込まれた。


 雪「あの、天照さま。天照さまはどうやって現代語を学ばれたんですか?」

 天照(へっ? あっ、あのー)


 天照は助けを求めるように俺の方に視線を泳がせた。くぅっ。ここで返事をはぐらかすのは逆に不自然だ。危険だけれどここはこの話を進めるしかない。なるべく早く話題転換の糸口を掴まなければ。


 俺はわずかに頷くことで天照の視線に答えた。うまくやってくれよ……。


 天照(えっと、あたしは未来に行ったことがあるから、その時、直接教えてもらったんだ)


 ちょ、ちょっと待てっ!! いきなり危険球ってどういうことだよっ!


 雪「親切な方がいらっしゃったんですね」

 天照(それが姫ちゃんだったんだけどね)

 俺「ふぇっ?」

 雪「えっ?」

 天照(あたしがね、まあ、いろいろあっていろんな時代をあちこち旅してた時に、当時は念話しか話せなかったからどこに行っても怖がられて、結構ショックを受けて落ち込んでたんだ)


 それは、まあ、わかる。唇を全く動かさないでしゃべる様子は、実のところかなり不気味だ。雨の様に口をぱくぱくしても声と合っていないとやはり違和感がある。


 天照(もう半分以上諦めてて、でもどこかで諦め切れなくてまた違う時代に行ってやっぱりダメでってのを繰り返してる時に姫ちゃんに会ったんだよ)

 雪「そうだったんですか」

 俺「知らなかったわ」

 雪「え?」

 雨(え?)

 墨「え?」


 そんなハモらなくてもいいじゃん。そんな話聞いたことなかったんだから。


 天照(まだ、姫ちゃんがこんなちっちゃい頃のことで、あたしも姫ちゃんにあわせて同い年くらいの姿になって声を掛けたんだけど、姫ちゃんはあたしのことをなぜか外国人だと思ったみたいで、言葉を教えてくれたんだ)


 ……、思い出した。あれは小学校2年の時、親の都合で夏休みの間に引越しをしたんだけど、新しい土地でまだ学校の友達とかいなかったから毎日一人で遊んでた時があったっけ。

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