表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/362

百陸拾参.大神こども

 雪は天児屋の正体に驚いていたが、すでに天照の例を知っているせいかそれ以上取り乱すことはなかった。ただ、天児屋の性癖と一緒に住むことについては想定外だったようで目を白黒させていたが。


 天児屋(おい、やめろ、やめてください、お願いします、ダメだよ、無理矢理なんて、やめてーーー)


 ご飯を食べた後、別の部屋で墨に天児屋を羽交い絞めにさせて服を脱がせていた。華奢でおとなしそうな墨だが、実は腕力だけは妙に強くてひ弱な天児屋では全く抵抗できないのだ。神さまのくせに。


 だんだんテンションが上がってきて、最後、小袖の前を勢い良く開けたところ、現代的な下着を履いていなかった天児屋の見てはいけないものを見てしまい、そっと前を閉じた。


 俺「なんていうか、……ごめん」

 天児屋(そんな哀れみの目で僕を見ないでっ)


 天児屋……、強く生きろ。


 打ちひしがれる天児屋はさて置いて、俺は雪に見繕ってもらった服を手に取る。それは墨のために作らせたものの数々だった。


 俺「これなんかどうかな?」


 服と天児屋を交互に見ながら思考に耽っていた俺はその中から1つを選んで持ってきた。


 天児屋(何、何をするの?)

 俺「天児屋、今日からあなたは女の子よ」

 天児屋|(へ?)

 俺「名前はそうね。天児屋だから、あめってどうかしら?」

 天児屋(い、意味がわからないです)


 天児屋、もとい、雨も快諾してくれたことだし、早速、服を着させてあげよう。


 雨(意味がわからないよー)


 それから1時間。着せ替え人形になった後、薄いお化粧までした雨は立派な女の子になっていた。


 雨(もっ、もう、お婿にいけない。ご主人さま、責任とってくださいっ)

 俺「そんなことはいいから、話すときは口を動かしなさい」

 雨(なんでだよ)

 俺「口を動かさないで喋ってたら、普通の人は引くでしょ。私と一緒に住みたいんでしょ。だったら、人間界のルールに従いなさいよ」

 雨(でも、なんで女装なんだよ)

 俺「女性の屋敷に旦那でもない男が住めると思ってるの?」

 雨(う……)


 しぶしぶ話し方と女装に納得した雨は、それでも人間語の発音で話すのは難しいようで、口だけそれっぽく動かして内容は人間でもちゃんと聞き取れるようにしっかりと念話で話した。まあ、これでもパッと見の異様さはなくなるだろう。


 雪「まあ、よくお似合いですね」

 俺「後は付け髪で髪を長くしたら、どこに持って行っても女の子だわ」

 雨(くぅっ。しくしく。せめて、巨乳だったらよかったのに)


 ところで、図らずも名前が雪と雨になってしまったが、別に狼と関係してたりはしないからな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ