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百伍拾陸.天然核爆弾

 何かが騒々しいような気がして、不意に目が覚めた。目を開けると外が異様に明るい。


 (もう朝か)


 それにしてはまだあまり寝たような気がしない。せいぜい2時間くらい寝ただけのようだ。思ったより疲れていたのだろうか。


 スサノオ(なんであいつが……)


 ふと気づくと、スサノオが苦虫を噛み潰したような顔をして窓の外を睨んでいる。それにしても外が明るい。昨日、半日外にいたけれどこんなに明るかっただろうか。まるで窓から直射日光が差し込んできているみたいな感じだ。


 俺はなんとなくスサノオの隣に立って窓の外を見た。空は明るく澄んだ空色でその中央には太陽が輝いていた。


 …………


 (太陽なんてあったっけ?)


 ここは根の国。地の底にある世界で太陽の光は届かない。空は暗い青で地上付近は赤みがかっていて、地上はそれなりに明るいが頭上に太陽を拝むことはできない。この世界の常識だったはずじゃなかったっけ。


 スサノオ(……、天照!)

 俺(えっ!!?)


 スサノオはそう一言つぶやくとすごい勢いで部屋から飛び出していった。もしかして……!


 俺(おい、天児屋、起きろ。墨、お前も)

 天児屋(むにゃむにゃ、ご主人さま。ん、そこはだめぇ……)

 俺(さっさと起きろ!)

 天児屋(ふぎゃっ)


 寝汚い天児屋がいつまでも夢の世界から帰ってこないので、かぐや姫スペシャルを一発入れて強制的に現実を思い出させてやった。


 俺(行くぞ)

 天児屋(な、何? もう朝?)

 俺(違う。天照が来た)


 俺たちが外に出ると、太陽に見えていたものは山荘の真上まで来ていた。


 天児屋(あ、あれは……)

 俺(太陽神、天照だ)


 そう、そこにいるのは紛れもなく天照だった。普段はその当たり前の事実を忘れてしまっているが、よく考えてみればあいつは実は太陽そのものなのだ。それが夜である月☆読を伴わずに根の国に来れば、これまで照らされたこともないほどの強い光で、夜も昼もなく隅々まで照らされてしまうのは当然だ。


 天照『姫ちゃーーーーーん!』

 俺『天照っ。何しに来たんだっ!』

 天照『姫ちゃんを迎えに来たんだよ』


 天照は俺を見つけると地上に向けて急降下をしようとする。しかし、その直後に天照の進路を遮るように人影が立ちふさがった。


 スサノオ(そこから先は行かせない)

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