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百伍拾壱.FUJIYAMA

 俺(さて、本当にどうしようか)

 天児屋(どうもこうもないよぉ。もうおしまいなんだ。僕はここで死ぬんだ)

 俺(神さまでも死んだりするのか?)

 天児屋(死ぬよっ。当たり前だよっ。死んだら根の国に行くんだよっ)

 俺(なら大丈夫だ。もう根の国に来てるんだから)

 天児屋(そっかー。それなら安心、……できるわけないじゃないかっ)


 しかし、困った。これが地上なら大体の地形は頭に入ってるから空を飛んだらなんとかなるし、そうでなくても天照あたりに会えれば道も聞けるだろうけど、根の国には知り合いもいないし。


 (そうだ。スサノオって天照の弟なんだっけ)


 スサノオの居所が分かれば、天照つながりってことで道を教えてもらおう。すせり姫のお父さんでもあるんだし、話せばなんとかなるだろ。


 俺(なあ、スサノオってどこにいるか知ってるか?)

 天児屋(すっ、すっ、すっ)

 俺(落ち着け)

 天児屋(スサノオの場所を聞いて何しようって言うのさっ)

 俺(帰り道でも聞こうかなと)

 天児屋(ごっ、ご主人さまはスサノオがどんな奴か知らないからそんなこと言うんだ)

 俺(天照と月☆読の弟で、すせり姫のお父さんだろ?)

 天児屋(そうだけど、そんな生やさしい相手じゃないんだよ。スサノオは高天原で神さまを殺して根の国に追放された極悪人なんだよっ)


 あれ、神話だとスサノオは暴れただけで女神が死んだのは事故だったと思ったけど、実際は違ったのかな?


 俺(でも、ここじゃ他に頼れる人もいないし、それとも自力で出口を探すか?)

 天児屋(ううっ。だから、こんなとこには来たくなかったんだ)


 天児屋も納得してくれたようなので、俺は墨を抱きかかえて八咫烏の羽を使って空へと飛び立った。後から泣きながらふらふらと春日神社の主神が追いかけてくる。


 天児屋(昔聞いた話だと、一番高い山の麓に屋敷があるってことだったけど)

 俺(一番高い山ね)


 えらくアバウトな話だと思いながら、とりあえず高く飛べば山の高さを比較できるだろうとどんどん高度を上げていった。


 墨「かっ、かぐっ、かっ、ひっ」


 墨がさっきから痛いほど爪を立てて掴んできて困る。痛い、痛いって。


 俺「墨、ちょっと、手、緩めて」

 墨「む、無理ですぅ」


 よく見ると墨の顔が真っ青になってガタガタと震えている。


 俺「大丈夫か?」

 墨「たっ、たかっ、高すぎです」

 俺「なんだ、高所恐怖症か。猫のくせにしょうがないやつだな」

 天児屋(絶対違うだろっ!)


 パンパカパーン。天児屋のレベルが上がりました。つっこみレベルが2になりました。

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