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百肆拾肆.ザ・タイム・スリッパーズ

 大国主『未来に決まってるじゃないかっ。そうじゃなかったらこんなに苦労するもんか』

 俺『未来っ!?』


 やっぱりだ。やっぱりこいつが未来とつながるキーだったんだ。


 俺『未来ってあの未来か? 21世紀か? どうやったらそこに行けるんだ?』

 大国主『ぐ、ぐるじい。死ぬ』


 興奮のあまり豚の襟元を持ってぶんぶん振り回すと、だんだん豚の顔が青くなってきた。


 すせり『やめて。その人にそっち系の趣味はないわ』


 すせり姫に止められてぐったりしかかっている大国主に気づいた俺は慌てて手を離した。


 天照『姫ちゃん、未来に行ってみたいの?』

 俺『惜しいな。俺は未来に帰りたいんだ』

 天照『あたしを捨てて? あたしたち、もう終わりなの?』

 俺『そもそも始まってないし』

 天照『ヨヨヨ(泣』

 すせり『ひどい、女の子を泣かせるなんて』

 俺『はじめに拉致したのはあっちだ。大体、今は俺も女の子じゃないか』

 大国主『あ、天照が最近ご執心って噂のやつってお前だったのか』

 俺『今まで気づいてなかったのか……』


 大国主がいまさらなことに驚いている様子に呆れた俺だったが、よく見るとすせり姫も呆れた顔をしている。ちょっと、大国主、しっかりしろ。


 大国主『え、で、こいつは本当に未来から連れてきたの?』

 天照『……まあね。正確に言うと魂だけ転移させたんだけど』

 大国主『あちゃー』

 俺『え? 何々? なんかまずいの?』

 大国主『ちょっと元の時代に戻るのは、なんていうか、難しいかもなー』

 俺『なんで!?』

 大国主『なんていうか、神力が足りないかな?』

 俺『え? なんで? お前はしょっちゅうDVDやら抱き枕やら薄い本やらフィギュアやらもっといろいろアレなものを取り寄せてんじゃないのか?』

 大国主『んー。まあ、簡単に説明するのは難しいんだけど、時間転移には制限があるんだよ』

 俺『詳しく聞かせてほしいな』


 大国主が天照の方に確認するように視線をやって、天照が泣きそうな顔で軽く頷くと、大国主は時間転移魔法についての経緯と詳細を話し始めた。


 それによると、時間転移魔法は太古の昔から伝わっているものの、天照級の神さまが数十人かかってようやく起動させられるほど神力の消費が激しくて、現実的に使える魔法とは考えられていなかった。しかし、ある時、大国主がこの魔法に神力消費を大幅に低下させる抜け道があることに気づいたのだ。


 その話を偶然知った天照が大国主と共同で研究を進めて、神力消費を現実的な量に抑えつつ魔法の発動を安定化させて使い勝手の改善を繰り返し、新しい時間転移魔法を作成した。それでも神力消費はまだ膨大で天照や大国主のクラスの神でないと発動できない上に、頭の固い高天原の神さまから文句を言われることが予見できたので、この魔法は2人の秘密ということにしていた。


 その方法とは、自分の分身として作った特殊な使い魔を転移させて、本体と使い魔の間にできるチャネルを通して情報や物質をやり取りするという方法で、そうすることで、最初の使い魔の転移にかかるエネルギーは相当大きいものの、その後のチャネルを通した転送は比較的安価になるのだ。


 それでも大国主は物質の転送が可能な大きさの使い魔を1体1度未来に送るのがやっとで、それ以降は向こうに滞在させた使い魔の時間とこちらの時間の進みが同期しているため、限定品の抱き枕は2度と手に入れられないのだ。


 天照はさすがに大国主よりもさらに神力があるのでもっと無茶なことができて、例えば、現代に生きる人の魂を転移させることができたわけだが、それによって天照は大部分の神力を失ってしまって、再度転移ができるほどに神力が回復するにはおそらく100年以上かかるはずなのだ。


 俺『ってことは……、つまり、要するに、俺は少なくとも後100年は戻れないってこと?』

やっとこのネタまでたどり着きました。長かったなぁ。

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