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百肆拾弐.ごめん、つい……

 天照『どうしたの?』

 俺『どうしたもこうしたも……、その……、ね、寝てるところを急に起こしたらかわいそうというか……、もうちょっと待ったほうが』

 天照『それなら急いで行ったほうがいいね。まだ寝てないかもしれないから』


 (いや、寝てなかったら逆によくないというか……、ああっ)


 照れながら説明を試みようとしているうちに、天照はさっさと行ってしまった。


 俺『ちょ、ちょっと、待って』


 もう手の届かないところまで行ってしまった天照の後ろ姿を追いながら、ことが終わっていてくれることを真心から願うのであった。


 天照『うわぁ』


 先に大国主の寝室に到着した天照は、俺の到着を待たずにふすまを勝手に開けて、その場で絶句していた。


 (や、やらかしやがった!?)


 ようやく追いついた俺が状況確認のために恐る恐る襖の中を覗いてみると、それはもう見たことを後悔するような目も当てられない光景だった。


 大国主はちょっと言葉にできない絵の描かれている大きな抱き枕に抱きついて寝ていて、その首にはすせり姫の蹴りが深々と刺さっていた。そのすせり姫の頭は本来の枕の位置から230度ほど回転したあたりに位置し、その寝相のせいか小袖の裾がめくれ上がってあられもない姿態を晒していた。


 俺は、ただ黙って襖を閉めた。


 俺『な、かわいそうだっただろ?』

 天照『あたし、これから人と寝るのが怖くなったかも』

 俺『俺もだ』


 しかし、そうはいってもこのまま待っていても埒があかないし、天照は明け方までには戻らないといけないし、ここは2人を起こす以外に道はなかった。


 俺『天照はすせり姫を頼む。俺は大国主だ』

 天照『了解』

 俺『……、普通に起こしてくれ』


 天照が物騒な何かをしようとしているところを制止して、俺は大国主の側に近づいた。


 ボッ


 大国主(う、うわっ、熱い、熱っ、何、何が……、ああああああーーーー、ぼっ、僕の、みっ、みゆきちゃんがあぁぁぁっ!!!)

 俺(ごめん。つい、燃やしちゃった)


 人として超えてはいけない一線を超えた様子の大国主の、いや、元々神だから超えているのだけど、その寝姿を見るうちに、こいつは早くなんとかしないと、という気持ちになってついうっかり無意識に強行手段を取ってしまった。てへぺろっ。


 すせり『あれ、天照さま。帰ったんではなかったんですか?』


 すせり姫はあれほどあられもない姿だったにもかかわらず、起きた瞬間に身だしなみを整えていつの間にか礼儀正しく正座をしていた。


 天照『んー、帰ろうと思ったんだけど、姫ちゃんに襲われちゃって……、無理矢理……、嫌だって言ったのに……』

 俺『そこっ、誤解を招くような言い方をっ』

 すせり『kwsk』

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