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百肆拾.プリンセス・スセリ

 俺『……BL本じゃねぇか』


 しかも結構アレな。


 天照『返してよっ!!』

 俺『お前、最高神のくせに何読んでんだよ』


 日本はもう本格的にやばいかもしれない。そろそろ海外移住を本格的にオプションとして考えておいたほうが、などと現実逃避思考に陥りながら何気なくまだ手に持っていた本の表紙をもう一度見て、再度驚愕した。


 (『プリンセス・スセリ』??)


 俺『って、これ書いたのすせり姫かよっ!!』


 すせり姫、つまり大国主の奥さん、かつスサノオの愛娘。そしてスサノオといえば若い頃にヤマタノオロチを倒して救いだしたクシナダヒメと結婚した天照の弟。


 (自分の父親と8頭の大蛇を主人公にしたBL本って、あんた一体どんだけ……)


 天照『返してっ! あたし、まだ全部読んでないんだからっ』


 (そしてお前は自分の弟が主人公になってるBL本を読んで喜んでるのか……)


 あまりの衝撃に放心している隙に、天照は俺の手から全然薄くないその本を奪い取った。というかむしろ厚い。実に超大作だったのだ。信じられないことに。


 俺『…………』

 天照『何。もしかして姫ちゃんも読みたいの? ……しょうがないな。じゃあ、一緒に読む?』

 俺『遠慮する』


 即答した。何が悲しくて平安時代まで来て男なのにBL本を女同士で読まなきゃいけないんだ。っていうか、どんなシチュエーションだよ、それは。


 俺『もうどこから突っ込んだらいいのかわからないよ……。すせり姫……、ボケが高度すぎるよ』

 天照『もう、姫ちゃんたら、おっぱい大きいのに、』

 俺『ちょっと待て。それ、すせり姫の持ちネタだよね? パクッたの?』

 天照『う……』

 俺『まあ、いいや。とりあえずすせり姫のとこ、行こうか』

 天照『えー、今日はこれから帰ってこれ読むのに』

 俺『問答無用』


 嫌がる天照の手を掴んで引き摺るようにすせり姫の寝室へと向かう俺。天照は嫌だ嫌だとだだをこねてしゃがみこんでしまったので、俺たちが通った後には地面に誰かのお尻を引き摺った跡が残っていた。


 (さて、ここからが問題だ)


 すせり姫の寝室は大国主が張った結界の中にある。つまり俺はこの先に入れないわけで、


 俺『お前、どうやってこの中に入ったんだ?』


 少し前にここから出てきたと思われる、隣でちょっと拗ねたままの最高神に対して当然の疑問をぶつけてみた。


 天照『どうって、普通に入れるじゃん?』


 と、言いながら面白くなさそうに普通に結界があるはずの屋敷の中へと入っていく。慌てて追いかけた俺だが、淡い期待も虚しくいつもの通り入り口のところで結界に阻まれて侵入できなかった。


 俺『何でお前は結界の中に入れるんだ!!』

 天照『日本一の神様にそんなのが効くわけないじゃん』


 と、急になんかドヤ顔になって言い放つ天照。


 あれ、何かデジャブ……

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