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百廿伍.関西風

 近くで見ると、なんとなく天然ボケな顔をしたすせり姫は見た目に違わず本当に天然ボケなようだ。だけど、マッサージチェアー?


 俺(そ、それはともかく、どうして、その、なんていうか、そんなに昭和なんですか?)

 すせり(ん、かぐや姫さんはおし○という話を知っていますか?)

 俺(は?)


 (知ってるも何も、むしろなぜお前が知っている? いや、プ○○ュアオタクの大国主の奥さんならそのくらいは知っててもおかしくないけど)


 すせり(やはり日本人とはあのようにあるべきと思ってですね、まずは形からと実践しているのですよ)

 俺(はぁ)

 すせり(物干し竿に干してこその洗濯です。乾燥機なんて邪道なんです)

 俺(そこは普通は洗い張りするとこっ!)


 思わず全力で突っ込んでしまった。なんで俺は平安常識を初対面の人に向かって大声で突っ込んでるんだ。きっと一気に俺の印象が悪くなったに違いない。


 おたおたと動揺する俺を見て、すせり姫は眼の奥に鋭い光を一瞬見せたと思うと、すぐに人のよさそうな顔でにこっと微笑んだ。


 (あれ? 見間違えかな?)


 すせり(ところで、かぐや姫さんはどうしてこちらに?)

 俺(あ、その、大国主さんに会いに来たんですが、今は忙しいみたいで)

 すせり(ああ、あの人は真面目すぎなんですよ。お客さんが来てるなら、仕事なんか適当に手を抜いて、もっとお話すればいいのに。せっかく天児屋くんも来てるのにね)

 天児屋(ふん。貧乳にくん付けされる云われはない)


 ゴチン


 天児屋(痛いな。何するんだよ)

 俺(お前は女の胸しか見てないのか)

 すせり(でも、本当に、毎日あんなに仕事してて大丈夫なのかしら)


 すせり姫の言ったことと、定時上がりの大国主のワークスタイルの間にギャップを感じて、何の心配をしているのかわからなかったが、よく考えると天児屋の言う大国主の定時というのは「窓口」の受付時間のことを言っているのであって、実際の仕事時間のことは何も言っていなかったことに気づいた。


 俺(もしかして、大国主さんは実は夜中ずっと仕事をしているとか……)

 すせり(いえ、夜中アニメDVDを見ています)

 俺(全然大丈夫やないかいっ!)


 はっ、また突っ込んでしまった。そして、またすせり姫の謎の眼光。


 俺(すっ、すいません、いきなり大声を出してしまって)

 すせり(いえ。あたし、力強く突っ込まれるのが好きですから。それにしてもかぐや姫さんはおっぱいが大きいのにすぐ突っ込みたがるんですね)


 おっぱいと突っ込みとどういう関係があるんじゃいっ、と思わず叫びそうになったところで、ぎりぎり言葉を飲み込む。なんなんだこの人は。


 天児屋(突っ込むって何のことだ?)

 すせり(それはね、棒のようなものを穴のようなものの中に差し込むことを言うのよ)

 俺(その突っ込むじゃねーっ)


 ああ、また突っ込んじゃったよ。もうどうなってもいいや……


 天児屋(ごめん。何言ってるか全然分からないや)

物干し竿というのは平安末期になって登場したようです。それまでは地面などに広げて干したのを砧で叩いて伸ばすか、洗い張りといって竹串で伸ばした状態で干すかのどちらかをしていたようです。

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