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ぼくの家にはトンネルがある。~時をめぐる、ぼくと僕の物語~

作者:近藤良英
最終エピソード掲載日:2025/11/12
父と進路をめぐって言い争った夜、少年〈のぶくん〉は、家の地下で偶然見つけた「トンネル」の扉を開ける。
その先には、昭和の夏が広がっていた。
ちゃぶ台のある家、ランニング姿の父親、蚊取り線香の匂い。
どこか懐かしく、しかし現実とは違う世界。
のぶくんは、そこに自分と同じ名前を持つ少年や、優しい母に出会い、時間の輪の中に迷い込んでいく。
季節が変わり、のぶくんは“りっくん”として中学生になっていた。
友人たちと笑い合い、淡い初恋を経験しながら、
「人を笑顔にできる喜び」を知る。
やがて卒業式の日、体育館の床の下で再び“トンネル”を見つけた彼は、
ふとした拍子にその中へ入り込み、光の奥へと消えていく。
次に目を覚ましたとき、彼は大学生“福ちゃん”となっていた。
漫画や映画を愛し、仲間と同人誌を作る日々。
創作の喜びと焦りの狭間で、自分の進むべき道を模索する。
時代は昭和から平成へ。
やがて彼は社会人“よしお”として、製陶会社の便座開発に携わり、
現実の中で「夢を形にすること」に向き合っていく。
人との出会い、別れ、恋、そして仕事。
そのすべてが、あのトンネルの延長線上にあることを、彼はまだ知らない。
年月を経て、“新藤”と名を変えた彼は、映画会社の若手宣伝マンになっていた。
熱狂する観客、監督の言葉――「アニメは未来をつくる」。
その瞬間、群衆の光に包まれながら、彼は悟る。
過去も未来も、トンネルの向こうでつながっている。
そしてある夜、再び生家へ戻った彼は、
地下室の錆びた扉を開き、もう一度あのトンネルを歩き出す。
その先で出会ったのは、麦わら帽子をかぶった小さな少年――幼い日の“のぶくん”だった。
「この家の下にはね、トンネルがあるんだよ」
少年の言葉に、彼は微笑む。
光に包まれながら、彼は静かに理解する。
トンネルとは、時間を越えて自分と出会う場所。
人生そのものがひとつの往復の旅なのだと。
朝の光の中、彼はゆっくりと歩き出す。
トンネルの向こうには、まだ見ぬ“ぼく”が待っている。
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