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凛と咲き誇る百合の花  作者: イチノセ
第6章 日常
49/50

第48話 わたしの周りって変な人多いよね

 どうやらドアの鍵を閉め忘れていたらしい。下着を手にした葵さんにバッチリ全裸を見られてしまった。しかも、自分の腋を嗅いでいる姿を。脱衣所だから誰にも見られないと思って油断していた。

「あ、ごめん」

 すぐにドアを閉めてくれた。

 ここは平然としていないと、恥ずかしがると余計恥ずかしくなる。わたし達は女同士なんだから裸くらい大丈夫。

「あ、葵さんも一緒に入る〜? なんちゃって……」

 恥ずかしさを誤魔化すため、少し冗談を言ってみる。

 すると、ドアの向こうから声がする。

「一緒に……?」

 もしかして押せば一緒にお風呂に入れる? わたしだけ全裸を見られたままなのは少し(しゃく)だし、一緒に入ればもっと仲良くなれるかも! 実際小さい頃は一緒に入っていたんだし!

「ほら、受験生の勉強時間を無駄にはできないし! 一緒に入れば効率がいいみたいな?」

 言ってて思ったけど、全然効率とか関係ない。わたしがお風呂入ってる時間に勉強していればいいんだから。

「それもそうかな……?」

 葵さんもあんまり頭が回ってないみたいだ。


 再びドアが開かれ裸体をさらけ出す。流石に何も隠さないのは恥ずかしいのでハンドタオルで前だけは隠す。

「じゃあ、一緒に……」

「あっうん、先に入ってるね」

「あ、待って」

 脱ぐのを待っているのもおかしいと思い、先に体を洗おうとお風呂場へ行こうとしたら呼び止められた。

「さっき……腋嗅いでたけど、やっぱり気になるの?」

 こんなタイミングで切り込んで来るとは……ガッツリしっかり見られていたので言い逃れはできない。

 とんでもない(はずかし)めだ。

「一応……気になって、少し嗅いでみた……全然分かんなかったけど」

 わたしめちゃくちゃ変態みたいに思われてないかな? 自分の匂い嗅ぐとか誰でもするよね?

「わたしが……確かめようか」

「え……」

 葵さんに……確かめてもらう? 何を? 腋の匂い?

 それは流石に恥ずかしすぎる……けど、確かに自分じゃ分からないし、葵さんともっと仲良くなれるチャンスか?

 いや、でも……うーん。

 わたしが返事に戸惑っているといつの間にか葵さんも全裸になっていた。

 うわ、おっぱいでか。Dカップ以上はありそう。下は……いやいや、そんなジロジロ見てたら嫌われそう。

 お互い産まれたままの姿になり、なんかもう羞恥心とかあんま気にしなくていいかって思うと気が楽だった。

 なので、葵さんの提案を受け入れてみる事にした。

「じゃ、じゃあ……お願いしようかな」

「いいよ、腕上げて」

「えっ今!?」

 グイッと近付いてきた葵さんに驚く。

「せめて体洗ってから……」

「シャワー浴びたら今の匂いは消えちゃうでしょ」

「そ、それはそうかも……」

 腕を持ち上げられ、葵さんの顔が近付く。

 う、嘘でしょ? 1日活動してたんだよ? しかも直接って……。

 うわうわ、結構ガッツリ嗅いでる。

 血の繋がった従姉妹で、かなりの美人さんで……そんな人がわたしの腋を……。

「うん、全然大丈夫だよ」

 思いっきり匂いを吸収した葵さんが真顔で答える。

 もしかしてこの人もかなり変態なのでは……?

 自分から風呂に誘い嗅ぐのも許可したので、恥ずかしい思いは自業自得だった。

「じゃあ、入ろっか」

 わたしが恥ずかしがっている事など気にも止めずお風呂場へ歩いて行く。


「咲百合ちゃん、髪長いから洗うの大変だね」

「えぇ、まぁ」

 先に体を流してお湯に浸かる葵さんが、わしゃわしゃと髪の毛を洗っていたわたしに話しかけてくる。

「どっちかと言うと乾かすのに時間がかかって、そっちの方が大変かも」

 ちゃんとお手入れしないと綺麗さが保てないし。

「でも昔は短めだったよね?」

「よく覚えてるね。えっとね、あの頃仲が良かった子に長い方が似合いそうって言われて、それから何となく伸ばしてる」

 名前もうろ覚えなあの子。まだ小学生だったし恋愛感情とかはないけど、また会えたなら何か運命的なものは感じちゃうかもしれない。

「へぇー……あ、もしかしてあの子か。わたしも覚えてるよ」

「あれ? あの子とは外でしか遊んでなかったと思うけど」

 体の弱い葵さんは外で遊ぶのを禁止されていたはずだ。

「咲百合ちゃんがどうしてもって言うから、お母さん達に内緒で外へ遊びに出たことあったんだよ。1回だけね」

「全然覚えてない……」

「その後結構怒られちゃって、懐かしいなぁ」

 懐かしんでいるところ申し訳ないけど本当に覚えていない。

「葵さんはその子の名前って覚えてるの?」

「確か……大木(おおき)ちゃんだったと思うけど」

 その名前を聞いて一気に記憶が蘇る。

「……!! そうだ! 大木くん!」

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