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凛と咲き誇る百合の花  作者: イチノセ
第6章 日常
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第46話 無垢な笑顔

 まぁまぁなサイズのソファに3人並んで座る、それはいいんだけどまさかのわたしが真ん中。結月姉妹に挟まれる形だ、両手に花。なにこの幸福感。


「さゆ姉全然ヘタだね」

 わたし、こんなにゲーム下手くそだったのか。

「咲百合ってゲーム内の車と連動して、現実の体も曲がるタイプだったんだ」

「え、そうだったの?」

 集中してて気が付かなかったけど、ハンドルを切る時に体も曲がってたらしい。

「わざと私たちにぶつかって来てるのかと思った」

「ねー少し面白かった」

 そこまで大きいソファじゃないから、確かにぶつかっていたかもしれない。

「なんか、体を曲げるとカートももっと曲がるような気がするんだよね」

 これ思うのわたしだけなのかな?

「それはね咲百合、ドリフトのタイミングが遅いんだよ。もっと意識してドリフトし始めないとだよ、アウトインアウトはレースゲーなら当然の」

「姉ちゃん、いきなりそんな説明したって意味分かんないよ」

「凛ちゃんって時々アクセル全開で解説してくるよね」

「つい……」

「この前お母さんにも同じ事言ってて全然分かんないって言われてたじゃん」

 見境無しに知識を披露するのは、それを語る相手が少ないからなのか、そもそも負けず嫌いの典型なのかな。嫌味とかではなく、それも性格のひとつなのでわたしは全然良いと思うけど。沢山喋る凛ちゃん面白いし。

 それより気になったのは。

「お母さんとも一緒にやるんだ?」

「あ、うん。よく3人でゲームやったり、テレビ見たりしてるよ」

 それは、特別珍しいことでは無い。家族団欒ですごくいい事だと思う。昔話を知っていると尚更。


「お母さんもやろうよー!」

 後ろのキッチンで料理を作っていた凛ママに、鈴ちゃんが呼びかける。

「子ども達が遊んでる中におばさんが入るのは……」

 そんな返事が帰ってきた。高校生の娘とその友達の間に母親が混じってゲームなんて、確かにあんまり見ない光景だ。だけどわたしたちがOKならいいんじゃないかな。

「やりましょうよ! わたし、2人に負けっぱなしで悔しいんでお母様には勝ちたいです!」

「そう……? じゃあ……少しだけ」

 わたしがそう言うと凛ママもエプロンを外してこちらに歩いてきた。

「よいしょっ」

「お?」

 膝の上に鈴ちゃんが乗ってきた。あぁそうか、4人も座るスペースが無いからわたしの上に……。

「わたしの上でいいの? 凛ちゃんの膝も空いてるよ?」

「さゆ姉いい匂いするから、ここがいい」

 本当に? わたしそんなにいい匂い撒き散らしてる?

 というか、実姉(じっし)そっちのけでわたしの上に座るなんてそれでいいの?

 そっと凛ちゃんの方へ目を配る。

「まぁ、鈴がそこに座りたいならいいんじゃないかな」

 わたしの気持ちを察して返事をしてくれた。それならいいか。


 隣に凛ママも座る。左に凛ちゃん、右に凛ママ、そしてわたしの上には鈴ちゃん。まさかこんなに状況になるなんて思わなかったな。結月家の一員になったみたいだ。

 結月咲百合……なんちゃって。

 しかしこうなると一家団欒を邪魔してるような気にもなる。

「なんか、結月家集合してる所に割って入ってるみたいで申し訳なさが……」

 鈴ちゃんは何のこと? という顔をしてる。

「気にしなくていいよ。私は咲百合とも家族とも、どっちも一緒に居たいから」

「そうよ、凛ったら最近咲百合ちゃんの話ばっかで」

「お母さん! そういうのは言わなくていい……」

「とにかく咲百合ちゃんなら大歓迎よ」

「じゃあお言葉に甘えて……」

 凛ちゃんがわたしのどんな話をしているのかは気になるけど、結月家に迎え入れてもらえて嬉しい。

「凛に仲良しの友達が出来て私たちも嬉しいわ」

 そうだよね、今まで友達と呼べる人が居なかったから……家で他人の話なんて出てこなかったんだろうな。

「そうだよっ! 姉ちゃんたちすごい仲良し! さっきもベッドの上でピッタリくっついてたよね!」

「え?」

「あ」

「あ」

 どれが誰の声か分からなかった。


 さらりと零れた次女の問題発言に、さっきまでの雰囲気がぶっ壊れる。

「く、くっついてたってどこが?」

 凛ママが困惑した様子で鈴ちゃんに問いかける。どこって聞き方は完全にそういう事を想像しているのでは……。

「体がピッタリ! ぎゅーって!」

 無邪気な笑顔でとんでもない事を言っているんだけど。凛ちゃん、今こそ回転の速い頭脳で何か上手いこと言ってくれ!

 ああ、ダメだ。さっきみたいに顔真っ赤にしてる。そんな顔してたら答え合わせしてるようなものでしょう。

 ここはわたしが口を開くしかない。

「あ、それは普通にちょっとスキンシップで抱き合っていた、みたいな感じです」

 スキンシップでもベッドの上で抱き合っていたら、性別関係無くそれはいかがわしい気がする。

 凛ママは何も答えない。

「トイレ行ってくる!」

 そんな空気を察したってことは無く、単純に催した鈴ちゃんがトイレへ歩いて行った。

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