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凛と咲き誇る百合の花  作者: イチノセ
第4章 激闘のポーカー編
27/50

第27話 ルール説明

 ただポーカーと言っても色々な種類がある。わたし達がこれからやるのは、日本で最も親しまれているファイブカードドロー形式のポーカーだ。

 トランプを5枚ずつ配り、役の強さを競う。これだけ聞くとただの運ゲーだが、ポーカーの真髄(しんずい)はそこじゃなかった。

 自分がどれだけ弱い手札を引いたとしても、表情や態度次第で相手に最強の手札だと思わせることもできる。

 感情を表に出さず相手に心中を悟らせない、これがポーカーフェイスと呼ばれる所以(ゆえん)だ。


「基本的なルールは普通のポーカーね。2が最弱で、A(エース)が最強。ジョーカーは全ての数字と図柄に対応。カードの交換は何枚でもいいけど1回だけ」

 後は説明するまでもないけど、役は弱い順に「ワンペア、ツーペア、スリーカード、ストレート、フラッシュ、フルハウス、フォーカード、ストレートフラッシュ、ロイヤルストレートフラッシュ」だ。


「次に、このチョコレートを使います」

 簡単なルール説明をして、机に置いてあった袋からチョコレートを取り出す。

 四角いサイズで、よくある黒いチョコと白いホワイトチョコが、個包装で20個ずつ入っている。

「それ、私が買ってきたやつだね」

 そう、先に帰った凛ちゃんがスーパーに寄って買ってきてくれたやつ。

「えっと、開けてもいいですか」

「どうぞ」

 許可を取って袋を開ける。

 黒いチョコをわたしの方へ置き、白いチョコはテーブル向かいに座る凛ちゃんへと渡す。

「なるほど、チップの代わりって事か」

「さすが、察しがいいじゃん」

 その通り、実際のお金を賭けてしまうと遊びじゃ済まなくなる。なので、ここではチョコレートを賭けて戦う。

「自分の持ってる20個のチョコが無くなったら負けね」

「分かった」

「チョコと貞操が()かってるから本格的にやるよ」

「貞操なんて賭けた覚えないけど……」

 何でもするって言っちゃったから、多分貞操も懸かってるんだよ。


「とりあえず流れを掴むために練習試合しようか」

 まずは山札から5枚ずつカードを配る。

「最初に、賭けるチョコを場に出す。これをベットって呼ぶね」

 今回はわたしのベットで進行するから、わたしが親番。後から動く凛ちゃんが子番だ。

「とりあえずチュートリアルだから、わたしは5個のチョコをベットします」

 机の中央に置かれた山札の横に、チョコを5個置く。

「次に凛ちゃんは、この5個と同じ数を出すコールか、更にチョコを上乗せするレイズか、勝負から降りるフォールドを選べます。もし初手で降りたら、賭けチョコの数は関係無く5個没収で」

「なるほどね、じゃあここはレイズ(上乗せ)で」

「レイズの場合は、相手よりひとつ以上は多く出そう。今回の場合最低6個ね。とりあえず出してみて」

 わたしの言葉通り、さっき出した黒チョコの横に、6個の白チョコが置かれた。

子番(凛ちゃん)がコールかレイズをしたら次は親番(わたし)。またさっきの3択から選べるようになる。少し省くけど、最初のベットはノーカンとして、お互いが2回動いたらショウダウン(手札公開)


 わたしが5のワンペア、凛ちゃんはブタ(役無し)か。

「勝った方が、机の上にあるチョコを総取りね」

 ガサーっと11個のチョコを引き寄せる。

「あ、もちろんチョコが無くなったら負けなんだから、賭けられるのは自分のチョコだけだよ。コールもレイズも出来なくなったら……こっちのグミで借金するか」

 ルールの穴を埋めるため、急遽凛ちゃんの買ってきたグミの袋を取り出す。

「借金したらどうなるの?」

「じゃあ、グミの数だけ相手のお願いを聞く?」

「へぇ、面白そう」


「このチョコはチップというより残機みたいな役割りか……持ってかれたら増えることは無い、最終的に支払えない分はグミで借金する。分かった」

「理解が早くて助かるよ。また分からないところがあったら、その都度聞いてくれればいいし」


 チョコとカードを元に戻し、山札を切る。

 わたしが適当にシャッシャと切った後、凛ちゃんへ渡して更に切ってもらう。

 これはもちろんイカサマ防止だ、本格的にやるんだからこれくらいしないと。

 机の中央に置かれた山札へ手を伸ばし、順番で1枚ずつカードを取る。

「じゃあ、1回戦。始めようか」

 冷静にそう言った凛ちゃんの顔はいつになく真剣で、思わずわたしも生唾を飲み込む。


 いつしか読んだ、漫画の名場面を彷彿(ほうふつ)とさせる。亡くなった仲間の想いを背負って、諸悪の根源とギャンブルで勝負をする男の影が見えた。これはそんなに大層な物語じゃないけれど、今のわたし達はそれと同じくらいの熱さがあった。

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