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凛と咲き誇る百合の花  作者: イチノセ
第4章 激闘のポーカー編
22/50

第22話 わたしのクラスの恋乃さん

「という事で、今回の赤点は龍園と恋乃(こいの)の2人だな。追試は水曜の放課後だから勉強しておけよ」


 テストもあっという間に終わり、週明けの月曜日。

 今日で全てのテストが返されたのだけれど、帰りのHR(ホームルーム)で赤点取ったことをバラされてしまった。

 数学だけ! 数学だけだから! 先生の言い方だと他の教科も赤点取ったと思われちゃう!


 ちゃんと勉強しておけば良かった……せめてあの範囲だけでも……。

 学校の机ってひんやりしていて気持ちいいなぁ。

 どうせ家に帰ると勉強やりたくなくなるし、放課後に少しだけ数学の勉強しようかと思ったけど、結局机に突っ伏していた。

 ダメだなぁ、わたし。なんでこんなに勉強したくないんだろう。

 中学の頃、進学するため必死に勉強した反動かな。そのおかげで進学はできたけど、そのせいで勉強が嫌いになっちゃったのかも。勉強してるとあの頃の気分を思い出しちゃう。なんて、勉強をしたくない言い訳なのは自覚してる。


「ゆりりん、結局赤点取っちゃったね」

 これから部活って感じのいろはちゃんが、机の横に立っていた。

「せっかく勉強手伝ってくれたのにごめんねぇ」

「ううん。数学はやってなかったからしょうがないよ。あたしは部活行くから、勉強頑張ってね」

 いろはちゃんは偉いなぁ、部活に勉強に。わたしは学校行くだけで精一杯だ。

「いろはちゃんも部活頑張ってね……」

「おう!」

 元気な返事と共に去る姿を見送り、何もしてないけどわたしも帰ることにした。


 教室を出ようとしたら、わたしと正反対の席で国語の勉強をしてる女の子が視界に入った。

 そういえば、赤点を取ったのはわたしだけじゃなかったな。

 確か、鯉……恋? 恋乃さんって名前だったかな。いや、先生は基本苗字呼びだから恋乃って苗字か。

 今日まで1回も話したことないから下の名前は覚えてない。自己紹介も全員やったのに、わたしは凛ちゃんの金髪しか見てなかったから他の人のプロフィールは記憶に無かった。


 どうしよう、話しかけてみようかな。赤点仲間いえーい、みたいな。でも恋乃さん、どう見てもそういうノリでいけるタイプじゃない。

 目元が隠れる程長い前髪のせいで顔はハッキリしないし、猫背気味で見た目に暗さがある。実際、教室でワイワイお喋りしてる所とか見たことない。凛ちゃんとは違った意味で浮いてるというか。

 でも、やっぱり見た目だけで決めつけるのは良くない。仲良くなったらめちゃくちゃ面白い子かもしれない。

 なにより赤点仲間は心強い。


「恋乃さんも赤点だったよね、わたしは数学で赤点取っちゃった」

 でへへーと笑いながら話しかけてみた。

「え?」

 いきなり話しかけられるとは思ってなかったみたいで、面食らってるのが見て分かる。

「実は、赤点が自分だけじゃなくて少しホッとしてる」

「はぁ、どうも。それで何か用……ですか」

 うーん、用事が無いと話しかけちゃいけないのかな? 凛ちゃんに初めて話しかけた時もこんな感じだったような。

「いや、用ってわけじゃないんだけど。追試、一緒に頑張ろう! みたいな?」

 右肘を曲げてガッツポーズを取ってみたけど返事がない。

「……良かったら、一緒に勉強しませんか?」

 予想外のお誘いで今度はこっちが面を食らう。

「いいの? わたし、一人だと勉強に集中できなくて、一緒にできるのは嬉しい」

「龍園さんに話しかけられると思ってなかったら、私も嬉しいです」

「じゃあ、お言葉に甘えて」


 ほとんどの生徒は帰ったり、テスト終わりの開放感で遊びに行ったり、部活を頑張ったりで、教室には数える程しか人がいなかった。当然隣の席も空いていたので少し使わせてもらおう。

 わたしが隣の机を持ち上げ恋乃さんの机とくっ付けると、目元は隠れていて見えないけど、口元が驚いているように見えた。

「隣、男の子の席だけど大丈夫ですか?」

 机をくっ付けた事ではなく、わたしが男子の席を使う事に対して驚いていたようだ。

「え? 別にわたしは気にしないかな。……あ、逆に男子がわたしに席を使われるの嫌がる可能性もあるのか」

 それはそれで、乙女心が少し傷付くけど。

「龍園さん可愛いので、その心配は無いと思います」

「そ、そう? まあね?」

 まあねってなんだ。初対面の人から可愛いって言われるのは慣れてない。

「私は、数学得意なので教えますよ」

「ありがたいな〜! 逆に国語得意だから教えるね!」

 お互いの出来ない教科を教え合えるなんて理想的過ぎる。

「あと、さっきは冷たい態度を取ってしまってごめんなさい。龍園さんと話したこと無かったので驚いてあんな返事をしてしまいました」

「そんな、全然気にしてないよ。というか、失礼かもしれないけど意外と話しやすくてビックリしてる」

 暗い人だと思ってごめんなさい。

「私、男子が苦手なんです。なのに、周りの席は男子で固まってるし。唯一近くの席の小森さんは、普通に会話できますけど、住む世界が違うというか……陽キャって感じなので話しかけにくいです」

 いろはちゃん陽キャだと思われてるんだ。まぁ男女問わず友達多いし人気者だよね。

「龍園さんもそっち側だと思ってるので、話しかけられた事に驚きました」

 おお、わたしも陽キャなのか。

「自分では思わなかったな。わたしが仲良い人っていろはちゃんと凛。……いろはちゃんくらいしかいないし」

「それは意外ですね。これから仲良くなれたら嬉しいです」

「まぁ、話していれば自然と仲良くなれるよ」

 友達ってそういうものだと思うから。

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