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凛と咲き誇る百合の花  作者: イチノセ
第3章 テスト勉強
21/50

第21話 勉強会……?

 口止め、秘密などの口外を禁止すること。凛ちゃんの優しさを周りへ伝えられないのである意味(まと)を得ているような、少し違うけど。

 てか口止めってなんか言い方悪くないかな?

「口止め、では無いけど」

「ゆりりん、結月さんの件で何か隠しているように見える」

 なんか妙に鋭い……。

「いや、隠し事とかはないけど」

 嘘下手くそだなわたし。

「もしかして……だけど」

 もしかして友達になれた? とか聞かれたら素直に答えるつもりだった。

「い、いじめ……とか」

「それはないから! そんな人じゃないよ!」

 さすがにそれは即否定する。やっぱりそんなイメージなんだね。

「ご、ごめん! ゆりりんが大丈夫ならいいんだけど……最近ゆりりんの目線が結月さんに向いてるし、何かあったんじゃないかと思って」

「前の席だからね? 嫌でも見ちゃうから、金髪だし」

 目立つからって意味なんだけど、悪い意味に聞こえてしまったらどうしよう。

「それは、そうだよね」

 本当に凛ちゃんのイメージは最低最悪らしい。

「そんなに怖いかな? 結月さん」

「怖いもあるけど、うーん……あんまり陰口とか言いたくなかったんだけどなぁ」

 わたしも友達の悪口は聞きたくない、話を終わらせるべきかな。

「あ、そんな無理して言わなくてもいいんだよ」

 いろはちゃんは少し言葉を選んで声を出した。

「正直、結月さんがいると教室の雰囲気が悪くて。それが一番嫌かなって」


 それは、わたしも最初に思っていた事だ。

 クラスメイト全員が凛ちゃんを爆弾みたいに扱っていて、ある意味では平和だと。ずっと思っていた。

 入学してからもうすぐ2ヶ月、そろそろクラスメイトのほとんどがストレスを抱えている可能性は高い。

 元気で明るい、悪口も好きじゃない。そんないろはちゃんですらこう思っているんだ。

 これで、本当は不良じゃないです、あなた達が勝手に勘違いして怖がってただけです。なんて事が判明したらみんなはどう思うのだろう。

 本当は優しいって事に安堵する人もいるかもしれない。でも、溜まった鬱憤を晴らすために凛ちゃんに酷いことを言う人もいそうだ。優しい凛ちゃんは、きっとその言葉を全て受け止めてしまう。

 結局それじゃ凛ちゃんはクラスに馴染めないまま、それどころか今より立場が悪くなるかもしれない。

 わたし1人が味方してどうにかなるとは思えない。


「わたしも、教室の雰囲気が良くないとは思う」

 みんなにとっても、わたしにとっても。そして、凛ちゃん自身も。

「だから、雰囲気が良くなるように何か考えてみる」

 いろはちゃんの顔はまだ曇っていた。それどころかさっきよりも心配そうに見てくる。

「ゆりりん、本当に何かあるなら相談してね? あたしは、どうしても結月さんとは仲良くなれないと思うけど……」

 ここまで断言されるって何かあったんだろうか。

「いろはちゃんこそ、結月さんと何かあったの?」

 曇った顔が更に影を増していく。

「実は……初めてゆりりんと話した後、勇気を出して結月さんにも話しかけたんだけど、怒られて」

 凛ちゃんが怒った? 話しかけただけで? 全然想像できない。

「なにか言ったの?」

 いくら周りと壁を作っていても、理由無く怒るような子じゃないはずだ。

「普通に挨拶して、返事してくれたからその後に『髪、みんな黒い中で金髪だとおかしいから黒くした方がいいよ』って言ったら、『あなたには関係ないでしょ、私には関わらないで』って……」

 そんな記憶を思い出して震えてるいろはちゃんを、抱き締め頭を撫でる。

「それは、怖かったね。よしよし。」


 り、凛ちゃんのおバカ〜! 入学初日でしょ、そこで仲良くなっておけばこんな苦労しなくて済んだのにバカ!

 いや、怒ってるかはともかく、今の話だと髪の毛に地雷が潜んでいると考えた方が良さそうだ。

 わたしも今までその辺触れてこなかったし、凛ちゃんについてはそんな詳しくないのだ。

 テストが終わったら絶対聞くぞ。


 わたしの胸に抱かれたいろはちゃんが何か喋っている。

「お……」

 お?

「おっぱいだ……」

 さっと胸から剥がして少し距離を置く。

「いろはちゃんって結構変態だよね。今日確信した」

 わたしもいろはちゃんの可愛いおっぱいに見惚れてたくせに。自分の事は棚に上げて、いろはちゃんへ変態の称号を与えた。

「そろそろテスト勉強しようよ」

「いや、あたしそろそろ帰る時間」

 壁掛け時計に目をやると、時刻はいつの間にか18時だった。

「1番苦手な数学やってないんだけど……」

 今日教えてもらった国語とイングリッシュは大丈夫そうだけど、数学とかその他はどうしよう。

「ゆりりんが脱ぎ出すから全然勉強出来なかったね」

「い、いやいや。脱いでくれって言ってきたのいろはちゃんだよね」

「本当に上裸になっちゃうとは思わなかった」

「自分でも驚いてるし、まだ恥ずかしいんだけど」

 空も顔も赤く染まってきて、いろはちゃんはせっせと帰り支度をしていた。


「今日は勉強に付き合ってくれてありがと、気を付けて帰ってね」

「うん! ゆりりんも気を付けてね!」

「ん……?」

 もう家には帰ってるし何に対して気を付けるんだ。テストを気を付ける……いや、凛ちゃんの件かな。

 結局あんまり勉強は捗らなかったけど楽しかった。

 次回の勉強会をやる頃には凛ちゃんもクラスに馴染めていればいいな。

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