魔帝サマエルの野望
堕天使サマエル。
またの名を、魔帝サマエル。
そして俺は、ネロと名乗った。
こっちの世界では、ネロと名乗ることにした。
ある日、俺は再び魔帝サマエルに呼ばれた。サマエルの配下が瞬間移動で城につれていってくれた。
サマエル「どうだ?町の様子は。
聞くところによると、人々はパチンコや、ゲームに明け暮れているそうではないか。」
サマエルのところにも、既に報告が行っていたようだ。
サマエルは、大魔王ルシファーとともに、かつて神に対して反乱を起こし、戦いに敗れて、ルシファーらとともに魔界に落とされた。
配下「サマエル様は、偉大なる力を持っているお方だ。むろん、あの教団の信じる神など、足元にも及ばないほどの。
だが、不幸にして神との戦いに敗れ、魔界に落とされてしまったのだ。」
配下は自慢気に語る。それだけサマエルに忠誠を誓っているということだろう。
ここで、魔界の勢力図について。
サタン、ルシファー、アスモデウスの
三大大魔王が、全ての悪魔、魔物、魔王たちの頂点に立つ。
続いて、ベルゼブブ、ベリアル、アスタロトが、それに続く。
サマエルはというと、この位置だ。
サマエル「私は、三大大魔王の直属の側近中の側近であり、ルキフゲに次いで、ルシファー様直属の腹心だ。
よって、私に指示、命令できるのも、ルシファー様だけなのだ。」
えっと、つまり、ルシファーの次、そして、ベルゼブブやベリアルやアスタロトよりも、上になるの?
しかし、サマエルにしても、あわよくば
自らが三大大魔王に並ぶことを目論んでいるのでは。ベルゼブブ然り、ベリアル然り、アスタロトもまた然りだろう。
魔界の権力争いは、まさに戦国時代さながらの弱肉強食の世界。
下級の悪魔たちも、どの魔王の傘下に入れば有利になるか、見定めている。
俺は、このままサマエルに同調する気は無いと思っていた。
「おいおい、魔帝サマエルを完全に信じきってしまっていいのか?」
高額献金被害者の会の知り合いたちも、そう言っていた。ヘタすると、俺たちを支配する者が、教団の唯一神から魔帝サマエルに変わるだけで、結局は一生言いなりで、搾取され続けるだけか、と思ったからだ。
教団という共通の敵がいるうちは同調させてもらうが、いずれは・・・。
サマエル「もはや、ルシファー様、
いいや、ルシファーのやつも、この私には及ばないだろう、わっはっはっはっは!
・・・と、一度は言ってみたいと思ってな。冗談だよ、冗談!」
この冗談が、冗談に聞こえないところが、不気味だ。