ふと思う サラサーガ 町づくりモード
ふと思う。自分が今いる世界が、ゲームの中の世界なのか、現実の世界なのか、わからなくなる時がある。
ふと思う。俺は最近、よく考えるんだ。
もしかしたら、俺が、俺の復讐心、憎悪の感情が、この事態を招いているのではないかと。
しかし、考えても仕方ないな。
サラサーガの町の様子は、砂漠の町らしく、アラビア風の建物が建ち並ぶ。
ただし、豚肉は食べられるし、酒も飲める。女性はむしろ、露出の高い服装になることが奨励される。
そして何より、聖地に行く必要も無い。
聖地に行って、将棋倒しになって死ぬような心配も無い。
鉄道模型の展示施設や、プラモデルの展示施設も建った。
娯楽施設は好きなように配置を変えたり、種類を変えたりできる。
パチンコ屋、ゲームセンター、映画館は、相変わらずの人気だ。住民の要望に応じて建設することもできる。
現実世界では既に完全に引退して廃車になった、国鉄型の旧型車両、たとえば103系とか、113系の湘南色、スカ色も、こっちの世界では現役の車両として走らせることができたりする。
現実世界じゃ生活費のために働くだけ、
教団への献金のために働くだけ、
借金返済のために働くだけ、
顔を合わせたくもない他の乗客と、毎日、満員電車に揺られて、その挙げ句に車内トラブルやら何やらで電車遅延、そのたびに遅延証明書を取りに行ったりするのも、うんざりだ。
これが日常茶飯事、クソ現実だ。
顔を合わせたくもない上司や同僚と毎日顔を合わせて、毎日ただ通り過ぎるだけ、
こっちじゃ、欲望満たし放題。
何でもやれる。一つの欲望を満たしても、また次の欲望が出てくるが、おもしろいように欲望を満たせるので、困らない。
俺は、ゲームの世界と現実世界を行き来できるが、現実世界は、もはや俺たちの知っている現実世界では無くなっていた。
サマエル教団の処刑ライダーが、オートバイに乗って爆音を鳴らして、エホバ教団の残党のテンプルナイトを轢き殺していた。
これが日常茶飯事、今の現実世界の実態だ。
ウリエルより先の大幹部は、チートコマンドを入力して、専属武器を入手しないと、そこから先に進めないようだ。
だけど、アクションモード1の方は、イージーモードでクリアすれば、それでクリアしたということになり、それで即、町づくりモードに入れるのだ。
そんなわけで、そんなふうにして、町づくりモードを楽しみながら、気ままに過ごすことにしていた。




