魔帝サマエル、現実世界に現れる!『全世界魔界村化計画』
魔帝サマエルが、ついに現実世界に現れた。
『全世界魔界村化計画』って、何なんだ?
『エホバ教団』は、日本支部の代表が殺され、合同結婚式の会場も放火され壊滅。
これで事実上、日本での布教活動ができなくなった。その心の隙を付くように、とある教団が現れた。
『サマエル教団』だ。魔帝サマエルが神になるという。
ただし、入信するのも、しないのも自由。
脱会するのも自由だという。
戒律も、『エホバ教団』ほどには厳しくない。宗教上の理由での食事の制限も無い。
酒も飲める。ただし、目的のためなら殺生もいとわないというところはあるようだが。
俺も予測しないうちに、周りの状況がくるくる変わっていく。
ちなみに、『サマエル教団』には、入信はしない。『サマエル教団』に関しては、とりあえず様子見だ。
『エホバ教団』だけでなく、他のどんな教団とも関わらない人生を歩みたいから。どの宗教も信仰しないで、自由な人生を歩みたいから。
そして、魔帝サマエルが現実世界にやってきた。
魔帝サマエルは、まず挨拶代わりに世界中を飛び回った。イスラエルや、ロシア、さらには、バチカン、そこからヨーロッパやアフリカや中南米などを飛び回り、そこから、アメリカ、中国、韓国と飛び回り、そして一番最後に、日本の上空でも目撃された。
この順番に、何の意味があるのか。意味深な順番で飛び回ったな。
魔帝サマエルは、ある恐るべき計画を発表した。
それが、『全世界魔界村化計画』だ。
結局は、自らが支配者になること。ここで言う『全世界』とは、『異世界』はもとより、『現実世界』も『ゲーム内世界』も、そしてもちろん、『魔界』も『神の世界』も、全ての世界を『魔界村化』する計画だという。
サマエル「まずは、日本という国の、東京という町だ。ここを拠点に、『全世界魔界村化計画』を進めていく。」
そして、俺の目の前に、魔帝サマエルが現れた。
サマエル「いったいなぜ、こんなことになったのか?と思っているだろう。
それは!ネロ!全てお前が、お前の思いが、この事態を招いた!」
俺の思いが?何のことだ。
サマエル「このサマエルが、なぜこの現実世界に姿を現すことになったのか。
それは、エホバ教団への高額献金の被害のせいで、極貧生活を強いられ、お前の人生が何もかも、思い通りにならなかったことからだ。」
それが、なぜ?どこでどう繋がるんだ?
サマエル「信者だった親と絶縁状態になり、社会に出た後も、過去のトラウマに苦しめられてきたんだよな。
そして、エホバ教団への恨みを募らせていった。
そしてその、恨みの感情こそが、このサマエルの、かつて堕天使として魔界に落とされたことによる、神への復讐心と共鳴し、このサマエルが、現実世界に現れるための力になったのだ。」
それで、『全世界魔界村化計画』なのか。
『教団壊滅クエスト』の進捗もまた、魔界村化計画の進捗に関わるという。
サマエル「まだまだ進捗が足りない。そこでだ、開発者兼、テストプレイヤーであるお前に、『教団壊滅クエスト』を全クリしてもらおうと思っていた。」
次に攻略するのは、『サラサーガ』という地域で、砂漠が広がる地域。
ここには、エホバ教団の機械兵団が配備されている。要するに、メカロボ軍団だ。
悪魔や、異教徒、テロリストなどを討伐するために差し向けられた。
ステージボスは、警備システムという。
それじゃ、また次の戦いに赴くとしよう。
魔帝サマエルが支配者になれば・・・。
しかし結局は、エホバからサマエルに支配者が変わるだけで、置かれている環境は何も変わらないのではないか?という意見もあったことも事実だ。
信頼できる知り合い
私は、川田沙理。『高額献金被害者の会』の代表をやっている。
私には夢がある。今の夢は、『モンスターパーク』を作ること。
私は、本当は争い事とか、殺し合いとかは好きじゃない。
私は、過去のことはあまり振り返らない主義。
『モンスターパーク』とは、動物園に動物を見に行くような感覚で、魔物を見に行く施設のこと。
動物園に動物を見に行くような感覚で、魔物と接する、そんなところを目指しているの。
ネロ君や、兵藤君が、『教団壊滅クエスト』というゲームを開発して、プレイしているって聞いて、私は初めて、彼らと話をする機会を得たわ。
何の夢も持てなかった、私たち宗教2世が、今ようやく、自分達の夢を持って生きていけるようになった。
『モンスターパーク』の魔物は、どんな魔物がいるかな。
みんな、魔物というだけで、いっしょくたにしすぎだわ。
『スライム系』『獣系』『鳥系』『虫系』『植物系』『海の魔物』なんて、どうかな?
そして、現実世界に魔物が現れた。私が、『モンスターパーク』を建てるための条件が整った。
こうして私の、魔物=モンスター集めが始まった。
モンスターの中には、『モフモフモモンガー』なる、とてもモンスターとは思えないような、かわいい風貌のモンスターもいる。
最初に設計図を書くことにした。このあたりから、このあたりまでを、『獣系エリア』にする。
『スライム系エリア』は、このあたり。
いよいよ、モンスターたちを集めることになるけど、それには専用の武器を使って、モンスターたちと戦い、生け捕りにして、仲間に加える必要があるのね。
それに、各国の政府軍とかは、モンスターたちを絶対悪と見なし、攻撃してくることは確実。政府軍とかにやられないうちに、モンスターたちを捕まえて集める必要があるのね。
俺は兵藤行彦。子供の頃から、ゲームが好きで、何時間でもやれる自信があった。
だけど、親からはゲームをやることを制限されてきた。
中学くらいからグレ始め、ゲームセンターに入り浸るようになり、高校に入る頃には、ほとんど家には寄り付かなくなり、友達の家や、ネットカフェなどで過ごした。
そして仲間たちは、新作ゲームが出るたびに購入し、俺はゲーム仲間とともに、それこそ何時間も、夜遅くまで、ゲームをやりまくった。
高校を出て、社会人になったものの、仕事の時間になれば仕事漬け。それが嫌になって会社を辞め、それから、どうせなら自分で会社をやろうと一念発起。
自らゲーム制作会社を立ち上げ、会社の名前は、『ゴッド&デビルズゲームス』という社名にした。
ネロと名乗る同志が現れた。そして、最初に開発したゲームのタイトルは、
『教団壊滅クエスト』とした。
ジャンルは、アクション、それと町造りという。これもネロの提案だ。
ネロに言われるがままに作ったが、俺にはさらに作りたいジャンルがある。
それが、『シミュレーションRPG』だ。
『教団壊滅クエスト』の『シミュレーションRPG』バージョンを作ろうと思っている。
シミュレーションゲームとして、戦略を立てながら進める。
RPGのように、敵を倒して、そのキャラのレベルが上がっていく、より強い装備を手に入れれば、さらに強くなる、というものだ。
最初から最高レベル、最強装備を使える状態にすれば、楽勝で進められるチートコマンドも、あらかじめ用意しておこうか。
アクションバージョンと同様、教団側、悪魔側、あるいはどちらにも入らずに、自らが覇者になる道もある。
あるいは、自らが傍観者になって、勝手に殺し合いをさせておく、などと考えているやつほど、
中立だろうが何だろうが、自分たちの邪魔になるやつは殺せ、遠慮なく片っ端から叩き潰せ、ということになって、
結局甘ったるい考えの傍観者は真っ先に殺される運命。
どのみち、勝ち抜かなければ殺される、そういう世界だ。
さらには、シューティングゲームの、
『ガデュリオン』というタイトルのゲームを開発しようと考えている。こちらは教団とは全く関係の無い、SFのシューティングゲームだ。
巨大な敵の宇宙船などが出てきて、必殺アイテムを使って一撃のもとに、敵の宇宙船を葬り去るのが爽快というゲームだ。
自分でゲームを作る、自分でそのゲームを攻略したいから、自分でゲームを考えて作る、それが今の、俺の楽しみだ。




