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五の①

 心酔は危険を孕んでいる。無謀や行き過ぎた思想の要因となる。けれども、実は心酔は幸せである。あらゆるものに愛想を尽かして、世を離れるよりずっと運が良くて、幸福である。

 要は、心酔されるものに、道徳の心得が無くてはならない。例えば、先生である。先生に道徳などかけらも無いだろうと言う人は、いささかその意味を取り違えている。だって、先生を信仰すると、何だか愉快な気分になることができるのだ。

 だが、先生も人間だから、瞬刻の内に、立場を翻すことがある。何かきっかけさえあれば、往々にして起こり得る話である。——先生とて、人類である。つまらぬ事にほだされて、自身の矜持を見失うことがある。

 最初先生の異変に気が付いたのは、山本くんであった。先生の異変とは、すなわち先生の気質が通常のものに転じることを意味する。人並みに悩み、答えを欲し、得られないから悶えるのである。山本くんは、ちょっとがっかりした。こんな先生には、ちっとも魅力を感じない。だから、元に戻るよう促す策を考える。

 考えるには、源を探らなければならぬ。どうして、いつから先生は月並みとなったのか。山本くんは思い当たる節を探して、一つ見つけた。そう、先生の元を山本くんとは別の、ある青年が訪れたのである。その時、先生と青年がどんな会話を交わしたのか、山本くんは知らない。

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