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六の③

 先生は小屋に戻ると、またあのカードゲームの続きを製作している。よほど暇と見える。

「先生、そんなことばっかりしてないで、何か実のあることをやってくださいよ」

 聞いた先生は驚いた様子で振り返って「山本くんらしくもない注意だ」と言った。山本くんは少々狼狽える。

「暇な時にすることが、人の本質的な活動なのだ。暇に幸せを見つけられない者は、一向に不幸なのだよ。知っておくと良い」

「はあ」と山本くんはため息にも似た返事をする。

「人は皆、それぞれに考えてきたのだ。自分の考えがひとりぼっちだと思っても、きっと同じように考えたものがどこかにあるはずだと思って、考えてきたのだ。何、潮流が右を向いているからと言って、左を向いてはいけないなんて自然の摂理は無い。つまり——口笛を吹こうが吹くまいが、君の勝手だ」

 山本くんは思わず吹き出した。先生は「何がおかしい」と言う。山本くんは「別に」とあやふやにする。

 人は何の為に生きているか、何、自分の為に生きているのに他ならないのである。先生を見ているとそんな気がしてきて愉快だ。

 あの少年は、また明日もここに来るのだろうなと山本くんは思う。

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