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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お題を元に短編を書いたシリーズ

割れたガラスコップ

たけのこ先生の「こんなはずじゃなかった……」という短編小説のお題を戴いて書きました。

 「ただいまー って花梨(かりん)まだ帰ってないのか。しかし家の中でも寒いなぁ」


 帰宅した私は、ガラスコップを食器棚から取り出し、かじかむ手を揉みつつ冷蔵庫からお茶を取り出し注ぎ、一気に飲み干す。 


 「ふう…… って、あっ!」


 一息ついたときに手が緩んだのか、右手からこぼれ落ちていくガラスコップ。


 とっさに左手でつかもうとするも、無情にもつかめず落ちてしまい。




 ぱりーん!




 静寂の中に響く、ガラスの割れた音。そして飛び散るガラスの破片。


 「やっちゃった……」


 今までは割れなかったのに、どうして今回に限って……!


 そんな理不尽な思いも浮かんでしまうが、割れたものは仕方ない。


 仕方ない……が。


 「なんで、よりによって今日割れちゃうかなぁ」


 それは、同居人の花梨と初めて一緒に買い物に行って選んだペアカップ。


  卒業式の時、「同じ大学に行くのだし、せっかくから一緒に住まない?」 ってダメ元で聞いたらあっさりOKをもらって同居することになり、後日、一緒に生活用品を買いに行ったときに手に入れた、思い出のコップだった。




 「このガラスコップ、物静かですっきりした感じがして、結佳に似合ってる!」


 といって花梨ちゃんが進めてくれた、水色の花模様が入ったガラスコップ。


 デザインが気に入った私は、せっかくだからこっそりペアカップにしたいなって思い、同じところを探す。


 そして見つけた。彼女の情熱を表したような、真っ赤な花模様のガラスコップ。


 「こ、このコップとか花梨の情熱に似合ってると思うけれど、どう?」


 そう言って差し出したら、「いいね! アタシの情熱の赤!」って言ってくれて一緒に買うことになった、思い出のコップ。


 それが、今。落として割れて。ガラス片となってしまった。



ーーーーーー



 花梨は、高校に入学したときからのクラスメイト。偶然県外の同じ大学に入ることになった、活発な女の子。


 ううん、ちょっと違う。本当は同姓の彼女に一目惚れしてしまった私が、高校で仲良く友人として過ごしつつ志望校を聞き出して、一緒の大学に入ることにしたの。


 ホントは告白して付き合ったりもしたかったけれど、花梨だってそんなこと言われても困るだろうから、友人として高校生活を過ごしてた。




 高校3年生の春。高校を卒業したら、私たちの関係も終わってしまうんだろうな、なんて考えてブルーになって自暴自棄になり、ほかの友達とも疎遠になったり家族にも心配をかけてしまった時期があった。


 そんな中でも花梨だけは私のことを気にかけつつ変わらずに接してくれた。


 そんなとき、花梨は突然「大学に行く!」なんて言い出した。


 「なんで急に?」って聞いても教えてくれなかったけれど、「結佳も一緒に勉強して不安な気持ちを吹き飛ばしてみない?」なんて言われた。


 一緒に大学に行けばとりあえずは離れなくて済むと思った私は、親に大学に行きたいと直談判し、勉強もがんばった。その甲斐あって、無事一緒の大学に進学することができた。




 大学に入ってもう2年。ここの大学は3年に進学するときに学部を決めることになるのだが、その時期が迫ってきている。




 このままズルズル過ごしていても、大学卒業の時には結局分かれることになる。


 それならばこの機会に告白してしまおうと思う。


 万が一付き合えたら同じ学部で2年間を楽しく過ごせるし、ダメで気まずくなっても、別学部に行って顔を合わせなければいい。


 悲しい別れは、どうせ2年後には味わうことになる気持ちだから。


 そもそも大学の2年間分延長できているし、しかもその2年間は同棲しているという素晴らしい状況。


 大学の最後で砕けてしまって立ち直れないより、今あたって砕けて、残りの2年かけて立ち直るべき!


 ここ一か月くらいそのようなことを考えていたのだが、なかなか踏ん切りがつかなくて。




 そして悩んでいる様子があふれ出てたのか、ここ最近は花梨に心配される始末。


 このままではいけないと思い、今日告白するんだ! と気合いを入れて帰った矢先に今回の出来事。


 これは断られて、二人の仲も戻らないと言う暗示に違いない。


 「あれ、なんだか目の前がにじんで……」


 知らず知らずのうちに涙が出てきてしまった。

 




 呆然と立ったまま、どれくらいの時間がたったのだろうか。


 コップを割ったときには青々としていた空だが、部屋の窓から入る日差しは夕焼け色。

 

 「そうだ、ちゃんと片付けないと」


 溢れてた涙を手の甲で拭い、まずは大きなかけらから拾い集めて、流しの上の不燃物入れに放り込む。


 次に四つん這いになって、残ってた中くらいな欠片を右手で拾い、小さな欠片を指先に吸い付けて集め、右手の中へと落としていく。


 拾い集めていると、左手首に何か赤いものが見えた気がしたので、作業を止めて見てみる。


 「ありゃりゃ……」


 小さな欠片で切ってしまったのか、横に一筋、キズが入っており、赤い血が出てきていた。痛みは感じなかったんだけどな。


 血も軽く浮き出ているくらいでたいした怪我ではなかったので、さっさと欠片を拾うことにする。


 あらかた拾い終えて、花梨が帰ってくるまでに破片を片付けなきゃ、と流しに立ったその瞬間。


 「ただいまー」


 タイミング悪く花梨が帰ってきてしまった。



――――――



 はぁ……遅くなってしまった……


 近くの店の特売卵がちょうど売り切れだったので、少し離れた店まで行く羽目になってしまった。


 でも、結佳(ゆいか)がアタシの料理で喜んでくれるなら、そんな手間なんて些細なこと。


 アタシの友人の結佳は最近悩んでいるようで、落ち込んでいて食欲も沸いていないみたい。


 友人が悩んでいるのなら何とかしてあげたいが、いくら聞いてみても「花梨には関係ないから大丈夫」としか言われない。ならばアタシができるのは美味しい料理を作ってあげることだけ。


 どんなに疲れていても、結佳に「花梨ありがとう」って一言もらうだけで元気になれる。


 アタシにとって、結佳は友人…… とういより、ヒーロー。


 幼稚園の時のアタシは引っ込み思案な子で、周りの子からよくからかわれたりイジワルをされてたりしたんだけれど、そんなときに決まって庇ってくれた、格好いいヒーロー。幼少期の記憶はあまり残っていないけれど、格好よくてまぶしかったことだけは覚えてる。


 残念ながら親の離婚があったので、私は同じ県内の母方の祖母の家に引っ越すことになってしまい、お別れをすることになったのだけれど、母親の話では、お別れの時は号泣していたらしい。


 号泣したのははっきりとは覚えていないけれど、「また会おうね。今度あったらもう離れないよ」って指切りをしたのは覚えてる。




 小学校に入ったとき、あの子みたいに他の子を守れるようになりたい! あの子にあったときには恥じることがないようにしたい! あの子と再開したら、一緒に過ごせるようになりたい! と努力してたら、いつの間にかクラスをまとめる立場になることが多くなっていた。


 性格も幼少期とは比べものにならないくらい元気な性格になっていた。自分でも驚いてしまうくらいの変化。今思えばあれは初恋で、恋をしてたから変えられたんだろうなって思う。




 そうして無事中学も卒業して高校生になったとき。クラス分けの指示に従って教室に入ったアタシは、教室の中に懐かしい何かを感じた。そこにいたのは男の子じゃなくて女の子、ヒーローじゃなくて姫だった。格好良かったあのヒーローは男の子だと思っていたが、違ったらしい。あのころの活発さは見当たらなかったけれど、そんなのでわからなくなるほどの思いではない。


 結佳はアタシのことを忘れていたみたいで、それがなんだか悔しくて、いつか思い出してくれるかな、なんて思って幼稚園のことは言わなかったんだけれど、結局いつまでたっても思い出してくれることはなかった。


 それでも仲良くなったし、物静かになってしまった結佳もまたかわいくて、あの頃のように惹かれてしまった。


 男の子? 女の子? そんなの関係ない。アタシは結佳が好きなんだ。


 そう認識してからは、内心では結佳を恋人のように思っていたのだけれど。


 結佳は友人として扱ってくるわけで、恋人のように思っているというのは隠しつつ友人づきあいをしていた。


 高校3年になるころ、結佳は失恋したのかため息ついたり妙に落ち込んでいる時期があった。


 でも聞いても答えてくれないし、どうすればいいかわからなかったアタシは勉強にのめり込むことで問題を解決しようとした。


 結佳も勉強に誘ってみたところ、勉強で気分が紛らわせたのか、元の結佳に戻っていった。そして勉強が楽しくなってきたアタシは、まだまだ結佳と離れたくないので一緒に大学に行くよう誘導し、結果的に同じ大学に行くことができた。




 そして迎えた卒業式の日。結佳に一緒に住まない? と思いもかけないことを言われた。


 内心めちゃくちゃうれしかったので、一にも二にもなくOKと言ってしまったけれど。


 急に決めちゃったので、契約してたアパートをキャンセルしたりと母親には迷惑かけちゃった。でも、その後の生活が素晴らしかったので、快く許してくれた母親には感謝している。




 そんなこんなで夢の同棲生活も、もう2年。来年の進路をそろそろ相談しなきゃな、と思いつつも最近なんだか落ち込んでいるので、そんな重い話は話しかけにくいのだ。




 しかし、そろそろ期限も近いし、話を切り出さなきゃいけない。まずは元気を出してもらうために、結佳の好物のオムライスを作ってあげようと思い、買い物に行っていたのだ。




 「ただいまー」


 遅くなっちゃったなーと思いつつドアを開けると、そこには心なしか青ざめて、泣きはらした目で透明な何かの破片を持って佇んでいる結佳がいた。




 「大丈夫!?」


 駆けよって様子を見ると、左手首からは血が流れでていて…… って、リストカット!?




 「何やってるの!」


 ついつい勢いのまま、頬を叩いてしまう。


 「何って…… 何でもないよ?」


 そう言って何をしていたのか隠そうとする結佳。


 「じゃあなんなの、その破片、そしてそのキズ! リストカットするくらい悩んでるなら、もっと早く相談してよ! アタシじゃ頼りにならないの!? こんなに長いこと一緒にいるのに!? 今度あったらもう離れないって言ってたじゃん! せっかく会えたのに、また別れちゃうなんて、やだよ……」


 憤りのままに言葉を垂れ流し、体からは力が抜けてしまい、もう離さないとばかりに腰に顔を押しつけて抱きしめる。



 

 ぎゅっと抱きしめていると、


 「キツいキツい、しまってる! リストカットではないし、ホントに何でもないっていうか、ちょっとコップ割っちゃっただけだから!? というか、もう離れないって言ったことあったっけ? 誰かと間違ってない!?」


 頭の上から聞こえたのは、困惑と悲鳴がごちゃ混ぜになった、そんな結佳の言葉だった。




――――――



 花梨は、帰って来るなり突然泣き崩れて抱きしめてきた。


 何が何やらわからないけれど、とりあえず落ち着かせ、危なくないように先にガラス片の処理をして、食卓につく。


 まだぐずぐず言っている花梨に話を聞いてみると、なんでも思い詰めてリストカットしようとしている人に見えたらしい。心配させて申し訳ない……


 そんなことはしないから安心して! と言ってもなかなか信じてもらえず。


 そんなことをしたら後を追うから! なんていう脅迫も受けつつも、なんとか信じさせることに成功した。


 「でも、どうしてそんなに落ち込んでたのさ……」


 「ちょっと思い出のコップを割っちゃって……」


 「コップくらい買えばいいじゃん。そんなことで心配させないでよ」


 そんなこと扱いされた私はついカッとなってしまい、


 「そんなことって何!? 最初に選んでもらった、大事な思い出なんだから! それが大事な話をしようと思ってた矢先に割れたから、不吉だったんだから!」


 思いっきり叫んでしまう。


 「不吉を感じてしまう大事な話って何?」


 そう真剣な声で聞かれてしまったけれど、感情が乱高下しているこんな状況で告白なんてできない。それに、二人とも泣きはらした顔だから、もっとちゃんとしたときに仕切り直して告白したい。だから、


 「また仕切り直しで離すからいい」


 って断ったのだけれど、花梨は真剣な顔で、


 「さっきも言ったけど、悩んでるなら早く相談してほしいの。さっきみたいに慌てるのはもう嫌だから」


 と返してくる。目の周りが赤く腫れた状態で言われると、勘違いした花梨が悪いんじゃないか、なんて思っても罪悪感を感じてしまう。また泣かれるのも忍びないし、思い切って告白することにした。


 「えっと、笑わないでね?」


 「笑わない。それだけ大事な話なんでしょ?」


 「お願いするけど、ダメならダメって断って?」


 「結佳のお願いなら聞いてあげるよ?」


 念押しで言っておいたけれど、そんなダメダメな答えが返ってきた。


 同情や憐憫でOKされても困るし、ちゃんと考えた上で返事してほしい。


 「ダメ、ちゃんと考えて、ダメならダメって決めてほしいの。それだけ大事な話だから」


 「わかった」


 「ダメならダメって言ってね? 結果は受け入れるから」


 「しつこいよ。内容を聞かないことには、何とも答えられないじゃない」


 至極当然なことを言われてしまう。


 「そ、そうだよね…… じゃあ、言うよ」


 「うん」 


 深呼吸。深呼吸。


 フーッと息を吐き出し、大きく息を吸い込む。


 「花梨さん、恋人として付き合ってください!」


 「いいよ」




 一世一代の大決心。


 だというのに、すぐ帰ってきた、あまりにもあっさりとした返事に拍子抜けしてしまう。


 「付き合うって言っても、買い物に付き合うとかじゃないよ?」


 「わかってる」


 「カップルになりたいってことだよ?」


 「知ってる。というか、さっき恋人としてって言ったじゃん」


 「そんな簡単で、いいの……?」


 そう問いかけると、はあー ってため息をつかれて


 「今度あったらもう離れない、って言ったのは結佳でしょ?」


 「さっきも言ったけれど、記憶にないし…… 誰かと間違ってない?」


 出会ってからの記憶を必死で探して見るも、かわいい様子は出てくるけれど、そんなことを言った覚えはない。


 「昔、分かれるときはあんなに格好よく言っていたのに。それを信じて生きてきたのに。忘れちゃったのかぁ」


 わざとらしくそう言われても、覚えていない者は覚えていない。


 「ヒント! ヒントちょうだい! いつかだけでもいいから!」


 「幼稚園を卒園するころ」


 記憶を探すためのヒントをせがんでみたものの、思いもかけない単語が出てきてフリーズしてしまった。


 「やっぱり覚えてないんだ……」


 やれやれ、とあきれたように言われてしまったけれど。


 「いや、そんなときに会ってたっけ……?」


 「ひどい、いじめから助けてくれてうれしかったのに」


 幼稚園、いじめ、と聞いて思い浮かぶのは、引っ込み思案な女の子を助けてあげてた記憶……


 「あのときの、引っ込み思案な女の子……?」


 「正解です~。やっと思い出してくれたんだ」


 ふくれっ面でそんなことを言う花梨は、それはそれでかわいい……


 じゃなくて!


 「全然違うじゃん! あのころは、こう、女の子女の子してたのに、今や元気っ子じゃん!」


 「だって、助けてくれた子にあこがれて、変わろうと思ったんだもん! それ言ったら、あのころのヒーローだった結佳ちゃんだって、今やお嬢様じゃん!」


 「だって、あんな感じの女の子女の子した女の子になりたいなって」


 驚き目で見つめ合うこと数秒。どちらともなく笑い始め、空気が弛緩した。


 「なんだ、それぞれ相手みたいになりたくて努力してたんだ」


 「そうだよ。アタシはちゃんと高校入学初日に気づいたのに、結佳は気づいてくれないんだもん」


 「教えてくれたら良かったのに」


 「だって、いつか気づくだろうと思ってたんだもん。いつまでたっても気づかなかったけれど!」


 「仕方ないじゃん! こんなに変わっているんだもん」


 「アタシは変わってても気づいたよ! 口説かれてた相手だし!」


 「く、口説かれ……」


 「『今度あったらもう離れない……』」


 「た、確かにそうだけどさぁ。また会うとは思わないじゃん!」


 「ひっどーい!」


 わざとらしく膨らむ花梨を愛でつつ、つぶやく。


 「でも良かった」


 「何が良かったのさ」


 耳聡く聞きつけ、口をとがらせて言う花梨に答える。


 「だって、こうやって再び好きになることができたんだもん」


 「そうね。アタシは初恋だけどね」


 「花梨は、2回も惚れてしまうくらいすてきな人だから」


 ちくちく言ってくる花梨にそう言うと、花梨は固まって顔を赤くして。


 「な、な…… な、何回でも惚れさせてあげるよ!」


 「何回でも惚れちゃう!」


 「また忘れても、惚れさせちゃう!」


 「ひどーい! さすがにもう忘れないよ!」


 「ほんとー?」


 「ほんと!」


 「ならいいけど……」


 その後も、とりとめもないことを話した。


 恋人になってからの会話は普段と変わらないものいであったけれど。


 それでも恋人になったという気持ちだけで、何倍もすてきな気分になれた。




 そうそう、変わったものは、もう一つ。


 「前までおそろいのコップだったのになー」


 何とはなしにつぶやいたその台詞を聞いたらしい花梨は、ちょっと待っててと言って、今まで使ったいた、片割れとなってしまったコップを手に流しへと向かうと。




 ぱりーん!




 流しにコップを投げつけて割ってしまった。


 「な、なにするの! せっかくのコップを! まだ使えたのに!」


 そう抗議するも。


 「だって、さっきからため息ついてこのコップを見てたじゃん」


 「そうだけどさぁ。それはおそろいのコップがなくなったからで~」


 花梨は話を続けようとしている私の口を人差し指でそっと押さえ、ほほえんだ。 


 「だから、恋人になった記念に、改めてコップを買いに行こう? そろえるためには、片割れになったコップなんてもういらないでしょ?」


 「で、でも、初めてのプレゼント……」


 「初めてのプレゼントなら、まだ持っているよ?」


 心外そうな顔をして、鞄から家の鍵を取り出す花梨。


 そこについていた四角い透明キーホルダーの中には、なにかが書かれた紙が入ってる。 


 書かれているのは、どことなく人の顔のように見える線。


 「ってそれはまさか?」


 「ご明察~ 幼稚園の時、結佳ちゃんが書いてくれた似顔絵~ さすがにこれは縮小コピーで、原本は大切に片付けてあるけれど」


 「さ、さすがにそれは恥ずかしいからやめて!」


 「やめません~ 昔のこと忘れてたんだから、あきらめてください~」


 「えー、ひどーい!」


 そんなやりとりも、なんだかんだ笑顔で。


 これからも、こんなふうに楽しい生活が続けばいいなって思うのだった。


こうなった。

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