スケット
川を渡ると操作した木を降りて河辺の小石を踏みながら歩いて爆発男とガスターに近づいていった。仰向けでこちらの動きがわからないガスターへ配慮してのことで、あえて足音で位置を伝えた。
以前、ガスターは悪態をつきながら身動きが取れないなりにジタバタとしてる。
「ーーぁぁぁああああああーーーーっっ!!」
ガスターの足元まで来ると、とりあえず爆発男の無事を確認したが、まあ、とにかくうるさい。ガスターはひたすら発狂して喚き散らしていた。その行動には知性のカケラも感じない。降ろしたら話をする間もなく戦闘になりそうな雰囲気だ。
とはいえ、降ろさないわけにもいかないのでゆっくりと木の高度を下げた。
「……………………」
急に静かになった。
膝くらいの高さにまで下げてガスターの顔を覗き込むと……。
気絶していた。
私はそんなに怖いんだろうか……。
とりあえず、ガスターの拘束を解いて地面に置く、すると村の方が少し騒がしい。レイスのずば抜けた感覚で分かる。村の奥から10人程こちらに向かってくる。
「こっちだ! みんな急いで来てくれ!」
先程の医者のような人と村長と……見るからに体格の良い男達がそれぞれ武器を持っている。3人の柄の悪い輩に対抗するためにスケットを呼んだのだろう。
しかし、既にその3人の内の2人は逃げ、1人は気絶、そして瀕死の爆発男とその傍らに化け物のレイス。……まずい。
既にレイスの姿が視界入る距離まで彼らは迫っていた。……更にまずい。完全に逃げ遅れた。
どうする?
あの人数と戦闘になるのか?
それとも、全員気絶でもするのか?
足元で気絶しているガスターの酷い面を見ると下手に動けないでいた。
「ーーそこです!その不自然に小さな木が生えてるとこです」
「確かにケガ人はいたけど、聞いてた3人組はいないじゃないか」
「1人気絶してる奴がいるぞ、なんだこいつ?」
スケットの男達は聞いてた話と違う現状に少し混乱していた。
「村長、あとの2人はどこに行ったんでしょうね?」
「……わからん。とりあえずケガしてる彼をベッドに運んでやってくれ」
「この気絶してるのはどうします?」
「縛って馬小屋にでも入れておけ、後で町の警ら隊に引き渡すよう遣いを出そう」
村長がテキパキと指示を出してスケット達はケガ人を担架で運び、ガスターは長い棒と縄で手足をガチガチに縛られて、焚火で丸焼きにされる豚のようなスタイルで運ばれていった。
その間、誰もレイスの存在に気づく事はなかった。




