フラフラ
遠心力に速さと重さをたっぷり乗せた渾身の斬撃をヒゲ野郎の首元へ叩き込む。
一瞬だ……すぐ終わる……。
「いや……終わらせる!」
ーーーーキィィィィンッッ!!ーーーー
金属音が耳を劈く。
「いいや、まだ終わらんさ!」
首を飛ばす勢いの斬撃をすんでのところで自身の剣でガードしたヒゲ野郎は踏ん張りながらも言葉を返す。
ガードするヒゲ野郎の腕はプルプル震えている。
「……クッ!……いいね、腕ごと持っていかれそうだ」
「ああ、そのつもり……だっ!!」
ガードされ勢いを殺さたはずの斬撃に力を加え、そのままヒゲ野郎をぶっ飛ばす。
「ーーゥゥラァッッ!!ーー」
数メートル先の空中に投げ出されたヒゲ野郎に左手をかざす。
「ーーア・ヴォルグッ!!」
空中で爆発が起こる。
爆発で奴が見えなくなる。
「……じゃあな!ヒゲ野郎……普通に死んどけ……」
……魔力を使い過ぎた。もうフラフラだ。
……本当はもっと強いので消し炭にしてやりたかったが……ヴォルグが発動しただけ良しとするか……。
ア・ヴォルグの直撃なら普通の人間なら十分……死……。
【ーーーーっっ!!?】
ーーな……んだ?
温かい……血?……血が出てる……。
どこから?口か……。
「ーーガッ!!がはっーー!!」
苦しい……息が……上手く出来ない……。
「ーーがっぁが!ーーーーぁっっかぁ!!」
剣を落として両手で自分の身体をあちこち触る……すぐに原因が分かった……。
【喉に剣が刺さっている】
一体……いつ……だ……
…………いつやられた……?
『ーー素晴らしい一撃だった、炎将フロスト』
ヒゲ野郎を吹っ飛ばした方向から声がする。
悠々とこちらに歩いてくる奴を見ながら膝をつく。
「ーーっぁ……ぉ……まっ……!!」
「…………勝負を急いだ結果だな……残念だ。もし貴公が万全であれば………」
ヒゲ野郎は何か話しているが……もはや頭に入ってこない……
血がドバドバ出る……。
薄れゆく意識の中で何度も頭で反復したことは……吹っ飛ばされるヒゲ野郎の姿……。
剣を……持って……なかった……?
「……かっ……ぁっ……っ…………」
(……投げ……た……のか?)




