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制御と拡張





「お姉ちゃんっ!!お姉ちゃんっ!!」



 吐血するシーザを目の当たりにして声を上げるネイナ。魔法で足を固定され、何も出来ないもどかしさと心配で表情が歪む。





「〈赤〉を纏って良くぞここまで戦ったものだ、さぞ身体に負荷がかかって辛いだろう。それも手負いの身体で」



 ビクターは憐れむようにシーザを称賛する。



「……ハァ……ハァ……負荷と言うなら……あなたの〈黒〉だって……霊装騎纏キアグリフである以上……リスクが……ハァ……ハァ……あるはずだ……」

「ふむ……最もな考えだが、私の霊装騎纏キアグリフと君たち王国騎士が使う霊装騎纏キアグリフは全くの別物だ」

「一体……どういう……ハァ……ハァ……そもそも……〈黒〉があるなんて聞いたこともない……」

「……ふむ……ならば少し教えてやるとしよう……」



 圧倒的に優位な立場からなのか、ビクターは武器を構えることもせずに自然体で語り始める。シーザが元より時間稼ぎのために話を切り出したのかは定かではないが、こちらとしては好都合だった。





「そもそも……霊装騎纏キアグリフを考案して騎士と名乗る者の最低条件としてその習得を提言したのは他でもない、この私だ」

「……なっ……!?」



 少し驚くシーザ。

 構わずビクターは続ける。



「だが〈黒〉を習得出来るもの殆どおらず……故に〈白〉や〈赤〉のように習得が容易な亜流が騎士団の中で生まれたというわけだ、当然その効果は〈黒〉に大きく劣るがね。本来、霊装騎纏キアグリフの真価は〈制御〉にある、だが亜流は過度な〈拡張〉による身体強化をするため負荷が大きい……騎士の中で霊装騎纏キアグリフ使用時の負荷に個人差があるのは無意識に数パーセントを〈制御〉に重きを置けている者がいるからだ……君のようにな」

「……【制御】……」



 シーザはビクターの話に真剣に聞いて、何か……腑に落ちたように小さく呟いた。

 ビクターは更に続ける。



「〈白〉は筋組織、〈赤〉はそれに加えて血管や内臓、〈黒〉は更に加えて脳や神経にまでその影響と負荷広げるが〈黒〉を習得した者とそうでないと者とで色を纏っていられる時間には雲泥の差がつく」

「……その負荷でさえ、ある程度〈制御〉してしまうとでも……?」

「御名答だ、双剣士シーザ」

「……………………」



 少し小馬鹿にするように肯定するビクターは知識を披露して満足したように静かにひと息吐いた。そして……。



「ーーでは続きだ、シーザ」



 ……再び武器を構えた。



「もう十分に息は整っただろう……行くぞ!」



 掛け声に合わせてシーザも構えるっ。

 ビクターは真っ直ぐシーザに向かっていく。



 シーザの連撃を真似るかの如く今度はビクターが猛攻し、シーザがそれを捌く。

 剣を弾き、けたたましく連続する音の中でビクターが声を上げる。



「さあヒントはやったぞ!この土壇場で私と同じ〈色〉を開花させてみせろっシーザ!」

「ーーーークッッ!!ーーーー」





 剣を受け、辛うじて致命傷を防ぐシーザとは対象的に嬉々として猛攻するビクターはまるで新しいおもちゃを与えられた子供のようにも見えた。








 





 






 










 

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