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赤と黒





 ゆっくりと一歩、足を踏み出した直後にビクターは爆発的な加速で瞬く間に距離を詰め、シーザの頭上に剣を振り下ろすっ。

 灰黒かいこくの光は残像のようにビクターの動いた軌跡を遅れて辿る。


 シーザは瞬時に双剣を交差クロスしてビクターの剣を受けるっ。



「ーークッッ!!ーー」



 歯を食いしばる声を出すシーザ。

 振り下ろされるビクターの重撃はシーザの身体を通して地面に衝撃を伝え、シーザは片膝をついて体勢を崩した。



「【ーー霊装騎纏キアグリフキンデッドっ!】ーー」



 シーザが纏っていた白い光は赤い光に色を変え、ビクターの剣をいなして地面に落とした。そして、即座に風のように移動してビクターの背後を取る。



 背後を取ったシーザの剣はビクターの首を落とす勢いで横一線に繰り出されるっ。



「素晴らしいっ!〈赤〉も使えるのか……だがっーー」



 後ろを取られることをまるで予測していたかのように一切無駄のない動きで背後のシーザに蹴りを喰らわせたっ。



「ーーそれでも、この私を倒すにはまだ足りないっ」

「ーーぐあっ!!ーー」



 シーザの剣はビクターの首に届くことなく反撃を受け、後方に飛ばされる。ザビティ・グレンの近くの木に背中を打ち付ける形でシーザは止まるっ。



 衝撃を受けた木から葉がひらりと舞い散る中、ザビティは戴始爵の指示通り、我関せずといった具合にその場から距離を取る。



 灰黒を纏うビクターに対して、出し惜しみ出来ないと言わんばかりに赤を纏ったシーザだったが……それでも強さを見せつけたのはビクターだった。



「さあ、〈赤〉を使った以上時間が経って不利になるのは君だ、かかってきなさい」



 ビクターはいなされた剣を構え直してシーザを挑発する。ビクターから視線を外さず、すくっと立ち上がるシーザは息を乱しつつも再び構える。



「……ハァッ……ハァッ……言われてなくてもっ!」



 シーザは双剣を逆手に持ち換え、勇ましくビクターに向かっていく。ビクターの間合いに入る直前、超加速してビクターの横を通り過ぎたっ。



 直後、ビクターの左腕に小さなキズがついて衣類が切れる。



「…………ほぉ」



 シーザは同様の動きを不規則な方向から何度も繰り返した。辛うじてシーザの速さに反応して回避するビクターに致命的なダメージはないものの……身体には複数の小さなキズがついていく。



「恐ろしく速い……だが、何度も見ていれば……」



 ただ受けるだけだったビクターは一変してシーザの動きに反応し、剣で迎え撃つ。シーザはそれを速さで勢いのついた左の剣で上に押し返すようにとっさにガードし、脇が空いたビクターの懐に飛び込んだ。



「ーーなんとっ!!」



 シーザは距離を詰められ驚きを見せるビクターにクルッと回るように背中を向けて更に迫る。そして、自身の脇腹横を通すように右逆手に持った剣を、背を向けたまま一気にビクターの顔めがけて押し出したっ。



「ーーむぅっ!!」



 すんでのところで顔を逸し、躱すビクター。

 そして、間合いが近すぎて剣を振れないビクターは左足を軸に回転し、剣を持った右手で遠心力の乗った肘鉄をシーザの左脇腹に見舞ったっ。



「ーーーーがはぁっ!!ーー」



 シーザは数メートル吹っ飛んで地面に転がったっ。転がる勢いのまま隙なく上体を低くして体勢を立て直す。……だが、ダメージは大きいように見える。



「……ハァ……ハァ……ぅ、がはっ!がはっ!!」



 苦しそうな息づかいをして地面に血を吐くシーザ。







 ……ビクターという男、本当に強い。

 本調子ではないとはいえ、〈赤〉を纏うシーザを圧倒してみせる実力は本物と言わざるを得ない。



 早く自己修復を終わらせてシーザを援護しないといけないのに未だに終わらず、焦りだけ募っていく。




 




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