川辺の子供
常軌を逸した移動法で森をドンドン進んでいく。無尽蔵に木を生やし、操り、化け物姿の私と葉っぱがペタペタ貼ってある男を抱えてスクーター程の速さで駆けていった。
さっそく人の気配を感知して移動する方向を微調整した。すぐに人目につくと騒ぎになるのでスピードを落として気配のする方へ向かうことに。
森を抜けると目の前に川が流れており、その川の向こう側に村が見えた。人が歩いているのも遠目に確認出来た。川の近くには小さい子供がいて、なにやら川辺の石を真剣な表情で拾っては捨て、拾っては捨てを繰り返している。お気に入りの石を探して選別して遊んでるのだろうか。この子に爆発男を見つけてもらうことにした。
川辺から森の木の陰に隠れて身を潜め、気づかれないよう子供の様子を伺いながら爆発男だけを操った木で抱えて音を立てずに運んだ。幸い、子供に気取られず川辺に爆発男を置くことが出来たのでしばらく様子を見ることにした。……の、だが中々気づいてくれないので、爆発男の近くに小さめの木を生やして、更にゆらゆらと葉を揺らし音まで立てて子供の注意を引くことにした。子供は立ち上がって音の鳴る方へ視線をやった。
「……おかーさーん!おかーーーさーーーん!!」
男に気づいた子供は大人を頼りに村へ走っていく。すぐに数人の大人が村から川辺に歩いてきた。実に理想的な展開だ! ありがとう! 川辺の子供グッジョブ!
大人達の1人が爆発男の生死を確認するような動作をした。
「まだ息はある、ベッドへ運ぶから誰か手伝ってくれ」
そう言われた数人が村へ小走りして、担架を持って帰ってきた。
「村長、とりあえず彼が目覚めてから話を聞きましょう」
「そうだな。彼のことだからレイスの討伐は成したが負傷してここで倒れたのだろう。早く治療してやってくれるかの?先生」
医者のような立ち位置であろう男と村長と呼ばれた男との会話から爆発男は信頼されているような印象があった。爆発男を預ける相手としては問題ないだろうし肩の荷が降りた気分だ。
ところで気づいたことがあった。
私が身を潜めて隠れている場所から村長達のいる場所はそこそこ距離があるのだが、その会話を一言一句聞き逃さずに全て聞き取れたのだ。まるですぐ側にいるかのように。これもレイスの能力の一端なのだろうか、詳細はまた今度調べることにした。
担架に乗せられた爆発男を見届けた私は森に戻ろうと村に背を向けた。
「――なっ!!何なんだアンタ達はっ――!!」
村人の大きな声が聞こえて振り返った。




