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レイスの能力

 


 この爆発でレイスの体は跡形もなく消え去って、目が覚めたら元の日常に戻れたりするんだろうか。夫と息子から召使いのような扱いを受ける、あの生活に……。実際、夫と息子だけじゃなく夫の親や兄弟、私自身の親からもぞんざいな扱いを受け続けてきた。自分がいる意味って何なんだろう、ってそんな風に思って生きてきた世界だった。

 


 …なんだか戻るのも正直、微妙な気がしてきた。




 ま、死んでもないし、戻ってないけどね。



「いやー、死ぬかと思ったー」


  倒れていた私は上体を起こして周りを見回した。とっさに庇ったであろう両腕は消し飛んでいて、自分の半径30メートル程周りには木々も何も無くなっていて地面は中心から大きくえぐれていて焼け焦げから所々に火が残っていた。 消し飛んだ両腕は不思議と痛みも何も無い、レイスとはそうゆうものなんだろうか。考えたって分からないし、とりあえず痛くないに越したことはない。

 ところで、この爆発の張本人の姿が見当たらない。そもそも、手をかざして何か言うだけで爆発を起こせる人間ってなんなんだ!私も見た目は化け物だけど、あの爆発男も十分に化け物だ。


「ゔ……ぁあ……あ……」


 かすかに声がする。あの爆発男だ。どうやら生きてるみたいなので、声を辿って探してみた。すると、爆心地から30メートル程のところにそれが転がっていた。良くこんなところまで飛ばされて息があったものだなと思ったが、それもほとんど虫の息だった。男が装着していた武具などは焼け焦げてはいるが形は保ったままになっている、耐火性が高くてよほど高価なものなんだろう。もしかしたら、とても位の高い人物か何かなんだろうか。見殺しなんかにしたら他にも強い人たちが私を殺しに来るんだろうか。いや、むしろ殺しておかないと回復した本人が仕返しに来るんじゃないか。


「ぁあ……が…ぁ……あ……がは……」


 おっと、考えてる場合じゃない。爆発男は虫の息だった。早くしないと死んでしまう。姿形こそ化け物になってはいるが、心まで人間を捨てた覚えはない。


 救える命は救う!それだけだ。



 レイスの体になり時間が経つにつれて、自分の出来ること、能力等の知識が頭に流れ込んでくる。まるで、分厚い取扱説明書をペラペラとめくっているような感覚だ。それらを踏まえて手探りながらにやれることをやってみる。

 まず、火傷に効く植物を瑞々しい状態で生やして、火傷した箇所に葉をペタペタと貼っていく。現在、両腕が無いので葉を千切ったり貼ったりと細かい作業は別で生やした木の枝を手の様に形成して使う。

 次に食人植物を生やして爆発男を丸ごと飲み込ませた。この植物はとても変わっていて、捉えた獲物に擦り傷などの外傷があると特殊な分泌液で急速に自己治癒力を高め、ある程度治して綺麗にしてから強力な酸で溶かして栄養素にするというとても変わった植物だ。特に名前がないので 美食草 とでも名付けておく。美食草が爆発男を酸で溶かす前に取り出して治癒の恩恵のみを授かろうという算段だ。


 数時間が過ぎ、美食草がいつ酸を出すか正確に把握出来るかどうか自信が無かったので爆発男を早めに取り出した。一部の火傷跡を見てみると少しはマシになってるようにも見えなくもない。この短い時間で脅威的な回復だと言えるんじゃないだろうか。後は、十分な休息と本人の回復力に任せていいんじゃないだろうか。(医療行為自体初めてなので何一つ自信が持てない)

 後は人に任せよう。爆発男の目が覚めた時に私 森のレイス が目の前に居たらまた戦闘になり兼ねない。てか、たぶんなる。


 とりあえず、彼を抱えて森を抜けようと考えたが両腕が無かったので木を生やして無数の枝で自分と彼を絡ませて持ち上げた。そして、そのまま枝を急成長させ任意の方向へ移動した。木が横にばかり成長して伸びる様は不気味以外の何ものでもないが、移動手段としては大変便利だ。ところが根を張ったところから20メートル程で木の成長速度が著しく遅くなった。どうやら、その長さがこの木のおおよその限界のようなので、20メートルごとに新しく木を生やしてバトンリレーの要領で自身と爆発男を運ぶことにした。


 


 




 







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