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遠征部隊





 私は座ったまま前傾姿勢になったーー。



「ーーこのっ!!」



 小さな命に振り下ろされる剣の刀身を左手で掴んで止めたっ。



「ーーおいっ!急に動いてんじゃねぇよっ!邪魔すんなバケモノがよぉっ!!」

「邪魔なのは……あなたの方ですっ!」



 掴んだ刀身を力を入れて握って折り、そのままの手でテイブを横薙ぎにしてぶっ飛ばした。



「ぐぅっっぇえっ!」

「ぐはっ!」



 品のない声の上げながらテイブはすぐ横にいた騎士の1人を巻き込んで数メートル先の木に激突した。その場に残された騎士は一瞬動揺した素振りを見せるがハッとして戦闘態勢を取ろうするが……得物をテイブに取られてしまったため武器がなく再び動揺を体全体で表している。



「……私から危害を加えるつもりはありません、追ったりもしませんっ、だから仲間を連れて去りなさい!」



 こんな人達の相手をしている場合ではない。このアルピラの子供のためにも早く自己修復を終わらせないとっ!


 そう思った直後……。



『オイオイ見つけてるならよぉ知らせてくれよっ』

『ホントですよ、全く……アナタ達だけで特級を倒せるわけないでしょう?早くそこのノビてる奴らを片付けて……邪魔っ!』



 ーー新手っ!?ーー

 ーーこんな時にどうしてっ!?ーー



 声のする方向を見ると大きな武器を持つ体格の大きい騎士とツヤツヤの長い髪と綺麗な顔を見せつけるかの如く兜を被っていない細身の騎士が向かってくる。

 その2人を筆頭に周りからも続々を騎士や兵士と見られる者たちが現れる。状況は最悪……完全に囲まれている。



「でぇ?どっちが行くよエルファー」

「僕はあんまり汗をかきたくありませんからね、今回は轟天騎士アンクスに見せ場を譲ってあげますよ」

「ほぅ、なら行かせてもらおうかい!」

「まあ、手こずるなら手伝ってあげますけど」

「へ!ぬかせ!」



 低い声の大柄の騎士と、それとは対象的に高い声の細身の騎士の会話を聞いて察するに強いのだろう……少なくともそこでノビているテイブよりはずっと……。自信に溢れた雰囲気が漂わせながら大柄の男が大きな得物を持って近づいてくる。



 怖い……。

 威圧感……プレッシャーというのだろうか……物凄く圧を感じる。それに、アルピラの子供のこともあって、もう不安と焦りと恐怖で精神が限界を迎える寸前だ……。



「……どうしよう……どうしよう……どうしよう…………どうしよう……」



 小さな音量で泣き言を漏らす私の前に大柄の騎士は少し距離を取って立ち止まる。槍の尖端に斧の刃が付いたような柄の長い武器を地面に突き立てた大柄の騎士は明らかに2メートル超えの巨体だ。その巨体の身長を半メートルほど超える得物の斧状の刃部分は全長の3割を占める大きさだ。そんなもの持って近づかれたら怖くてたまらない。



「腕と脚がないなぁ……誰にやられた?」

「え……?」



 恐怖のあまり話しかけられても反応が遅れてしまう。



「そこでノビてるやつらじゃねぇのは分かってるよぉ、誰にやられた?」

「し……知らない人に……です」

「そうかぁ……それにしても本当に言葉が話せるんだなぁ……驚いたぁ」



 マイペースに話してくる大柄の騎士はまだ襲ってくる気配はない。



「あの……」

「んぅ?なんだぁ?」



 言葉が通じるなら話し合って事が済むかも知れない。感情が読めないこの男の妙な物腰に……賭けてみようと思った。



「この子……アルピラの子供が重症なんです……手当てしてあげてもらえませんか……?」

「ほぉ……どれどれ……これは辛そうだなぁ……かわいそうに……」



 男は距離を詰めてアルピラの子供の様子を伺う。

 それを見て何故か本能的に背筋がゾクっとするような感覚を徐々に感じた。



「よぉし!ならすぐに……【治療】といこうかのぅ!」



 男は持っていた斧槍をアルピラの子供に向かって振り下ろしたっーー!!















「ーーーーっっぐあ!!ーーーー」



 とっさに身をよじってアルピラの子供に覆いかぶさってレイスの身体で斧槍の一撃を受けたっ。



「ーーくっ!何……するんですか!?」

「そいつはもう何したって無駄だからよぉ、一撃であの世に送ってやるのが優しさってやつだろう?」

「だったら…………」

「んおぉ?なんだぁ?」

「だったらどうして…………





……【脚】を狙ったんです!!」

「おやぁ……?」


 男は振り下ろした斧槍を持ち上げて一呼吸置いて言葉を続けた。









【良く分かったなぁ、……へへ……へへへヘ……】



 兜で見えないはずの男の顔が極めて醜悪で悪意に満ち溢れ、嫌らしくニヤついているのがわかるような物言いに怖気が走った。


 





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