言いたいこと
「ネイナ……ネイナ……」
「……ん…………お姉……ちゃん……?」
明るい……え?外?外で寝てた?え?なんで……?
上体を起こすなりお姉ちゃんはアタシの顔を両手でギュムっと掴んだ。
「こんなに顔泥だらけにして……無茶して……」
そう言いながら顔の土を優しく払ってくれる。そしてギュっと抱きしめられた。
「ネイナのバカっ…………」
「お姉……ちゃん……?」
状況がまだ分からない。
抱きしめられた肩越しに視線を地面に落とすとそこには絶対そこにないはずの植物が目に映った。
「ーー銀汕だっ!ーー」
思い出した。
【森のレイス】を訪ねて森の奥へ入ったんだった。でも気分が悪くなって……そこからは良く覚えてないけど、とにかくこれでお姉ちゃんを助けることが出来るっ!
「帰ろうお姉ちゃん!」
「……ネイナ……お姉ちゃんね、ちょっと怒ってるのよ?……」
お姉ちゃんはアタシの肩を掴んでまっすぐの眼を見て逸らさない。
「お姉ちゃん……あのね……スープのこと……ごめんなさい……」
「……そんなことじゃないでしょ?…………」
あ…………これホントに怒ってるやつだ……。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい…………。
「あの……お姉ちゃ……ーーーー」
ーーーーバチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッッ!!!!ーーーー
「ーー死ぬかもしれなかったのよっ!!バカっ!!!!ーー」
痛くはなかった……ただ大きな音とお姉ちゃんの怒った顔と怒号にビックリして…………引っ叩かれた頬が熱を帯び始めるまで放心していた。
「……だって……だって……嫌だったんだもん…………お姉……ちゃ……死ぬの…………嫌だったんだもぉぉおおおおおおおおーーーーバカぁぁああああああああああっっ!!!!ーーーー」
アタシはまた抱きしめられたけど、色んな感情がグチャグチャに溢れ出してきてお姉ちゃんの抱擁から抜け出そうと必死に抵抗した。涙と鼻水とヨダレでぐしゃぐしゃになった顔で暴れるアタシを王妃直属騎士のお姉ちゃんは難なく抑え込んだ。
言いたいことはいっぱいある。
いっぱいあるんだけど……
とりあえず……
ーー顔面がモゲるかと思ったーー




