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棲家消滅

「ちょ!!待って!落ちついてくだ……」



 そう言って手をパーにして胸の前に上げて制止したい意思を示した…が、それがマズかった。

 臨戦態勢だった彼は私の動きを 攻撃 として瞬時に判断し、それが戦闘開始の合図となってしまった。



「ーーア・ヴォルグ!」



 彼がそう叫んで手を私に向けてかざすと私の目の前で大きな爆発が起こった。反射で顔を両手で庇った私はその瞬間に間合いを詰めてきた彼の大きな武器で胴に一撃を食らった。



「ーかはっ!」



ログハウスの方向に飛ばされていった私の体は、不恰好なりに修復した家をまた壊してしまった。


「キレイに一撃入ったはず、なんだがな…切断出来ねぇのは一体どうゆう訳だぁ?」


彼は不満を口にしながら持っている武器を刃こぼれでも探すように見つめている。

全壊した家の瓦礫に埋もれていた私は少し思考を巡らせる、このまま死んだふりでもしてようかと。


「…いつまで寝てるつもりだ、あんなもんで終わるわけねぇよな?森のレイスさんよぉ?」


バレた。そりゃそうでしょうよ。さっきの一撃に納得してなかったし、こっちもビックリはしたけど実は痛みは全く無い。私は死んだふりをやめて立ち上がった。



「あの!ちょっといいですか!」



とりあえず呼びかけてみた。



「ーーデア・ヴォルグ!!」



彼は私が話すのとほぼ同時に後ろに飛び退いて距離をとり何かを唱え、また爆発を起こした。今度は目眩しの爆発ではなく、私の体に爆発を直撃させてきた。それに先ほどよりずっと大きな爆発だ。私の足元の瓦礫は全部消し飛んで、家があった場所はただの爆発の跡地になった。その真ん中に私は無傷で立っていた。



「おいおいおい……マジかよ…」



私は爆発を受けた自分の体をチェックした。木の体なら爆発とか火の攻撃なら少しくらい傷ついたり、燃えたりしてもおかしくないはずなのに、また自分の体に感心していた。敵を前にして、その仕草が彼をバカにしてるように見えたのだろう。


「おおぉおおおーーーっ!!!」


彼は半狂乱になってこちらに武器を振り下ろしてきた。何度も何度も渾身の力を込めて繰り出される斬撃を私は少しずつ後ずさりしながら自身の長い指で弾いていった。



「何なんだぁあ!お前はぁっ!!?」


攻防の最中に話しかけてきた。これはイケるかも知れない!


「あの、一回戦うのやめませんか?」


「俺が!!この俺が!!こんなところで負けるわけにはいかねぇんだよーーっ!!」



うん、全然聞いてない。全く聞いてない。

そして更に攻撃は激しくなっていく。



「あーーの!!!一回……」


「この至近距離ならタダじゃ済まないぜぇええ!?喰らえ!!」


「え?」



私が斬撃を弾いた瞬間、彼は武器を捨てて両手を私の顔にかざした。



「ーーイデア・ヴォルグーー」



彼はこれまでで一番澄んだ声、それでいて芯が強い、そんな声で唱えた…。その瞬間、私の目の前は真っ白になり、とてつもない轟音が響いた。これまでの比にならない爆発に、私はさすがに死んだと、安易に想像できる程だった。













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