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プレゼント





 「お姉ちゃん……?どうしたの?」



 視線を下げて考え込む素振りにネイナは少し心配そうに声をかけてくれた。



「ううん、なんでもないよ……ちょっと疲れたのかな?フフフ……」

「もー、ちゃんと聞いてよー」



 ネイナはまだまだ話はこれからだと言わんばかりに、もう何杯目かも分からない飲み物のおかわりを用意するため席を立った。



 「あ、そうだ!ネイナにプレゼントがあったんだった」

「プレゼント!?何々?」



 湯気を昇らせるカップを両手に持ってテーブルに戻って来たネイナの前に一冊の本を置いた。表紙と裏表紙に分厚いクッション性があって触り心地の良い装丁がされている。



「王都にね、ちょっと変わったものを売ってるお店があってネイナが好きそうな本があったから買ったの」

「お姉ちゃん……この本……」



 あれ……?反応薄い?もしかして、もう持ってた……?気に入らなかった……?



「これ!これ書いた人!アタシの師匠!」

「ホントに……!?」

「ホントだよ!てか、買ったって……これめちゃくちゃ高い薬学書だよ!?特に植物由来の薬効に関して凄く良く書いてあって挿絵もある珍しい本なの!こんな高価なもの貰っていいの?」

「ネイナのために買ったものよ、むしろ貰ってくれないと持て余すわ」

「あ、ありがとうお姉ちゃん!!」



 ネイナは立ち上がって本を持ち上げて満面の笑みでまじまじと表紙を見つめてウットリしている。

 喜んでくれたようで何よりだ。



「……それより、お姉ちゃん!」



 急にネイナの視線が本からこっちに移動した。



「な、何……?」

「お姉ちゃんが騎士団に入ってから定期的にとんでもない金額が送られてくるんだけど……それに年々増えてるし」

「まあ……ちょっと出世したのよ」

「わぁ!おめでとう!……じゃなくて、急に大金送られてきたらビックリするでしょ!?騎士団のお給与がどのくらいかは知らないけど、もっと自分にお金使ってよね!美味しいもの食べたりとかオシャレしたりとか!王都なら色々あるでしょう!?」



 どうやら、生活に必要最低限の所持金以外ほぼすべてをネイナに送っていることに薄々勘づいていたようだ。



「私がそうしたくてそうしてるのよ……それにちゃんと食べてるわ、心配しないで」

「ホントにぃー……?」



 席を立って疑いの眼差しで姉の身体をジロジロと見ながら近づくネイナ。そして、両手で私の脇腹を掴んで弄り出した。



「ほっそ!これでホントに食べてるの?……でも胸はあるって……なんなの……」

「ちょっ!……や、やめてよネイナ……い、痛っ……いたた……」

「えっ!?ごめん!……どっか怪我してるの?大丈夫……?」



 急に痛みを訴える私を心配して痛みの箇所を探して脇腹の服をめくるネイナ。そして、すぐに身体の異常に気がついた。



「ーーっ!……お姉ちゃん……これって……」



 ネイナは肩を跳ねさせ、風を切るように息を吸い込む声を上げて驚いた。そして、私の脇腹にある特徴的な傷口を見て泣きそうな顔でこっちを見つめる。

 この子にはこの傷が何なのかを察したからこその反応だった。


 どうやら、もう言うしかないようね……。







「ネイナ……お姉ちゃんね…………









…………もうすぐ死ぬの……」











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