シーザとネイナ
父親譲りの暗緑色の髪を左右に揺らしながら走ってきた6つ歳の離れた妹のネイナは息を整えずに質問をしてくるので、ほとんど聞き取れない。
「お姉ちゃ……帰っ……ハァハァ……なんで……ハァハァ……ハァ……ハァ……ーーゲホゲホッ」
「はいはい。落ち着いてネイナ、何言ってるか全然わからないわ、とりあえず家に帰ろっか?ね?」
騎士ではなく姉としての顔に戻った自分は咳き込む妹の背中を優しく擦りながら帰路についた。少し歩いて落ち着いたネイナは不機嫌そうに質問を投げかける。
「お姉ちゃん!帰って来たならなんでアタシに一言も声かけないのよ!昨日帰って来たことは村長から聞いたのよ!?」
「……声かけたのよ?」
「ーーぅえっ!?そうなの!?」
昨日、森であったことからを軽く説明した。
「……でね、ウルフェンパイソンを倒した後に凄い殺気の別のモンスターに遭遇してね……ってこれはまあいいか……少ししてすぐ村に行ったら何か色々壊れてて、怪我人も何人かいて救護とか修繕を手伝って診療所にも寄ったのよ?」
「はぁ……」
妹は気の抜けた返事でこっち見つめる。
「そしたら診療所の奥で大量の薬草に囲まれてるネイナを見かけたから遠くから何回か声かけたんだけど……」
「はい……」
「そしたら、何かブツブツ言いながら凄い勢いで薬の調合をしてて全く気づいてくれなかったのよ?」
「……そ、そーなんだ、ごめんお姉ちゃん全然気づかなかった……ハハハ」
ヘラヘラと笑いながら私から視線を外して遠くを見る妹。最初、怒るように問い詰めた手前少しバツが悪そうにするネイナ。
こっちは全然気にしていないのに……かわいい妹だ。
「相変わらず薬草のことになると周りが見えなくなるのね」
「……うん」
「でも村長も診療医の先生もネイナのおかげで村人に死者が出なくて済んだ、って褒めてたわよ。やっぱりネイナは凄いわね、自慢の妹だわ」
「…………」
照れて何も言わなくなる妹。
……ああもう、ほんとかわいい子。
ニコニコして妹の照れた顔を堪能していると、少しだけ村から離れた私たち姉妹の家が目前に見えた。
「……お……お姉ちゃん」
「なーに?」
「お……おかえり!お姉ちゃん」
手に温かい感触、ネイナは私の手をギュっと握って一緒に家に入っていく。
「ただいま。ネイナ」




