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師匠



「なんなのよ、この瘴気は……」

「メリー、瘴気の影響が辛いのか?」


 メリーの額に汗が滲む。

 あからさまに疲弊しているメリーをイーデンが心配する。



「障壁魔法の内側にいる私に瘴気の影響なんかないわよ!バカね!」

「じゃあどうしたんだ?」

「障壁を維持するのに魔力を持っていかれてんのよ!このバカみたいに濃い瘴気のせいで魔力を常に注いでないと今にも割れそうなの!」



 魔力、魔法と言った言葉を使う彼らの会話を聞いて、

 ああやっぱりな。そうゆう世界なんだな。

 と、割と冷静に受け入れる自分がいた。これまで見てきた光景や、バケモノになった自分の存在を説明する1番簡単な落とし所だったとゆうのもあったのかも知れない。



「クッ……!……やっっば……意識が……」



 魔力がなくなるとどうなるのかは知らないが、両手で杖を持って体を支えている彼女の瞼は今にも閉じそうになっている。魔力が尽きかけているのでは、と安易に予想がつく。



「お、俺が!アイツをぶっ倒して瘴気を止めてやりゃああいい話なんだな!?メリーよぉ!」



 威勢良く声を張り上げ、武器を構えて立ち上げるセザンの足は少し震えていた。彼が吐いた言葉とは裏腹に表情は引きつっている。障壁を出たくない。もう瘴気は浴びたくない。といった顔だ。




「やめろ!セザン!あの特級モンスターは私達が思っているより遥かに危険だ!」


『随分と消耗しているね、メリー』



 そう言ってメリーの肩にポンッと手を置く何者かが急に現れた。



「師匠!」

「師匠!」

「ザビティ先生!」



 3人は同時に声を荒げた。

 師匠と呼ばれたその人は控えめな装飾が施された白いローブに身を包み、中心に赤い石が埋め込まれ黒く装飾された仮面を被っている。物腰の柔らかい印象と声質から大体50歳前後かそれ以上の男性のような印象を受けた。



「特級モンスターは無理に倒さなくてもいいからご子息共々すぐに帰ってきなさいと言ったはずですよ?メリー」

「ゲートを開ける魔力がもう残ってなくて……」

「フム……障壁の維持にここまで魔力を要するとは……途方もない瘴気ですね……」



 師匠と呼ばれた仮面の紳士が現れてから疲弊していたメリーの表情は落ち着きを取り戻した。何らかの形で障壁の維持を手伝っているのだろうか。



「私が人数分のゲートを開いてあげるから先に帰っていなさい」

「師匠!待っーー」



 メリーが何か言っていたが強制的にゲートとやらに吸い込まれるようにその場から消えた。お坊っちゃんとその護衛、セザンとイーデンも同様に姿を消した。1人、仮面の紳士だけがそこに残っていた。メリーがいなくなったと同時に障壁も消えていた。



「……こ……これは瘴気というより殺気ですね、障壁を張っていないと中々辛い……」



 その言葉の割にまだ余裕があるように見える紳士は少し後退りした。直に殺気を浴びて改めて警戒したようだ。



「ところでその者は死んでいるのですか?」



 不意に話かけられ反応に困った。

 え?私に?話かけてる?その者って誰?死んでる?えっ?誰か死んでるの?わずか1秒の間にこれだけの問いかけが頭を掻き乱す。

 そういえば忘れていた。姿を隠して木の上からこちらを見ているだけの来客が足元に倒れていることを。



「か……確認してもらえますか?」



 そう言って新たに木を生やし操って足元の来客を紳士の近くまで運んで置いた。

 












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