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緑の草

 村人達がケガ人の治療に奔走しているのを遠目に見ていると、1人の特定の村人が手当たり次第に民家を訪ねている様子が目についた。暗緑色の髪の若い村娘だ。


「ありがとうございます!!」



 彼女は訪ねた民家で何かを受け取って元気にお礼をした、その声はここまで聞こえた。

 ネギ……?いやニラ……かな?かなり少量の緑の草を握っているように見える。まだ足りないのか、彼女は民家を回ってその草をかき集めているようだ。

 焦りからか彼女は手に握っていた草を落としてしまった。少量故に手から溢れたのだろう。遠目にだが地面に落ちた草を見てレイスの知識にある植物だと分かった。ニラではない。



「……解毒作用を高める草か」



 彼女はウルフェンパイソンの毒の治療に使う薬草が足りなくて奔走していたのだ。焦りと諦めが混じったような困った顔で草を拾う彼女は今にも涙を浮かべそうだ。

 彼女は自分の落とした草とは別の自生している草を掴んでハッとしてすぐに離した。同じ場所、同じ見た目をしていたから落としたものと自生しているものの区別がすぐにつかなかったのは彼女としても仕方ないことだ。全て拾い終えた彼女は再び薬草を集めるためその場を後にする。

 


(……ダメか)



 私は静かに落胆した。すると、その場を去ったはずの彼女が次の民家を訪ねるでもなく道の真ん中で立ち止まっている。そして、神妙な顔でこちら振り向くと薬草を落とした場所に戻って来た。



(お!!)



 彼女は四つん這いになってショートボブの髪を耳にかけながら更に低い姿勢で自生している草に顔を近づけた。しばらく匂いを嗅いだ後、地面に平行に伸びる葉を指でそっと立てるとその先端をパクっと口に含んだ。

 傍から見るとかなり異様な光景だが、彼女の表情は真剣そのものだ。そして、その表情は驚きに変わった。どうして?なんでこんな所に?と言わんばかりの彼女の数メートル先に同じ薬草が生えているのを見つけて更に驚きの表情を見せる。薬草は極少量が等間隔で自生しており、それを辿って私の位置により近い民家の裏手に彼女を導いた。



「え!!嘘っっーー!!」



 思わず声を上げる彼女が見たのは、今まさに必要としている薬草が群生している光景だった。

 彼女は数秒間、固まって何かを考えた後、持っていた籠いっぱいに目の前の薬草を摘んで足早に去っていった。




 

















 

 

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